第37話

「そんでね、向こうの親がさぁ…」


真希はそれ以上冬弥のことについては聞かなかった


周りに人がいて、どうバレるかわからないと気を遣ってくれているのか、自分の惚気を聞かせたいのか…

どちらかはわからない

でもきっと前者だと私は感じて嬉しかった


「ん!ここのケーキ美味しい!」


『本当だ!甘すぎなくて美味しい』


「ちょっと半分ずつしよー♪」


『するする!』


なんてことない休日


お互い幸せがあって、それが故の不満なんかがでてくるガールズトーク


いい休日だな


なんて思って真希を見つめると、真希は私を通り越した1点をポカンと見ていた


『真希?』


「あ、ゆ、友梨!」


何かあるのかと私も振り返って真希が見つめた方向を見た


その視線の先に、一瞬にして目に入る人物がいた


「あ、あれ…誠二くんだよね?」


そう

そこにいたのは、元カレの誠二だった


「うわ!気付いた!」


私達の視線を感じたのか、神様のイタズラなのか、誠二と目が合うと、爽やかな笑顔を向けてこちらへ歩み寄ってきた

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