第35話

家に帰ってきてボーッと湯船に浸かる


『付き合っちゃった…』


まだ現実って感じがしない


でも冬弥の匂い、温もり、声

全てを思い返すと私の身体が熱くなる


これは現実だ


恋に臆病になっていた私が、まさか芸能人と付き合うことになるなんて思っていなかった


あの時私が冬弥に声をかけていなかったら、こうなってない


人生ってわからない


お節介な性格が、私の人生に一大イベントを巻き起こすなんて


でも、誰にも言えないな

まさか冬弥と付き合ってるなんて


真希には冬弥のこと話しちゃったけど、やっぱり隠さないとダメかな


真希が誰かに言うとは思わないけど…



お風呂場に持ち込んだスマホがメッセージ音を響かせた


『わ、真希だ』


《友梨~、ドレスのデザインどんな感じかな? 真希》


冬弥の話じゃなくてホッとする

聞かれるまでは黙っていよう


《もうほとんど完成だよ。あとは真希の意見聞いて調整しようと思ってる。 友梨》


《本当!?早い♪じゃあ明日会える? 真希》


真希幸せそうだな

結婚へ向けてワクワクしてるのが伝わってくる


《いいよ。じゃあお昼に駅で待ち合わせは? 友梨》


《了解! 真希》


結婚かぁ…

全然考えてなかったけど、身近な人が結婚するってなると、何か意識しちゃうんだよねぇ

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