第33話

ビール缶を1本飲み干すと、冬弥はもう1本ビールを差し出してきた


どれだけ呑兵衛のイメージ?


『きょ、今日はもういい』


「何で?別に酔わせて何かしようなんて考えてないよ」


冬弥の家にいて、同じソファに座って、恋人と言われ…

すでにこのあり得ない状況に酔ってしまいそうだ


「友梨って…あんまり恋愛経験少ない?」


『え!』


最悪だ

あまりにも緊張しすぎて恋愛偏差値低く見られた


いや、実際に低いのだけれど…


「どれくらい彼氏いなかった?」


『に…2年』


「なんで別れたの?」


その質問に私は冬弥の持っていたビール缶を奪った


『忘れた』


思い出したくなかったし、言いたくなかった


それを察したように笑って、頭を撫でた


「そいつのこと超えてやるから、覚悟しとけよ」


忘れさせてやる

私にはそう聞こえた


冬弥の言動に一々ドキドキする


こんなんでこの先付き合っていけるのだろうか

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