第2話

そして電車は終点に到着する


ドアに人が集中するため、私はしばらく座っていた


雪崩れのように人が消えていき立ち上がる


でも、隣の人は肩で息をしたまま俯いていた


グッタリとした様子を見て、私は思い切って声を掛けた



『あの、大丈夫ですか?』


私の声に反応したその人は、少し顔を上げた


「あー…すんません。変な病気じゃないんで」


『いえ、風邪…ですよね?大丈夫ですか?歩けますか?』


「大丈夫です…ゲホッ!ゴホッゴホッ!」


全然大丈夫に見えない 


でも男性はゆっくり立ち上がってフラフラと歩き始める


何とかドアを出たところで身体を半分に折り曲げる勢いで咳込んだ


『あの、これ良かったら…』


私はミネラルウォーターとのど飴、市販の咳止め薬を差し出した


「え…?」


息を切らしながらミネラルウォーターに手を伸ばす


「ありが…とう」


水を半分ほど一気飲みすると、のど飴と咳止め薬にも手を伸ばした

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