遊雷

「〜♪」


疲れ果てて眠ってしまったりんの体に羽織をかけた。


「ん……。」


少しはしゃぎすぎたね。

僕が散々可愛がったからりんは明日立てないかもしれない。


「兄様。」


部屋の前で雷牙が僕に声をかけた。


「何ー?僕、今から野暮用があるから手短にね?」


本当に大切な用があるんだ。

何があっても今日中に終わらせたい程大切な用事がね。


「野暮用?こんな夜中に何をするつもりだ?

まさか、女遊びか?」


失礼だなぁ、雷牙。


「りんに遊んでもらったから女遊びには行かないよ。」


「要らん事を言うな。

それより、明日の朝から落神の処理に行きたい。

俺たち兄弟が指名されたから死んでも来いと言いに来た。

で、どこへ出かけるんだ。

今言ったことを踏まえて言うが朝帰りなんて許さないぞ。」


雷牙は僕をとんでもない色狂いだと思ってるね。


「そんな事しないよ、安心して?」


朝までかかるとは思わない。


「何をするんだ?」


雷牙もしつこいなぁ。


「りんを刺した奴を捕まえに行くんだよ。」


「捕まえて殺すのか?」


雷牙はさっきからおかしな事ばかり聞くね。


「殺さないよ、死んだら何も感じられなくなるでしょ?

とりあえず捕まえて、僕が思いつく限りの拷問を披露しようと思ってる。」


「おい、兄様それは……」


あ、止められちゃうかも。

止められたら雷牙を気絶させてから行こうかな。


「名案だ、徹底的にやるべきだと思うぞ。

俺も是非行こう。」


さすが僕の弟だね。


「いいよー、うっかり殺さないようにね?」


「当たり前だろう、兄様。

殺さないのは俺の特技だ。」


いつも雷牙はこう言うことはそこまで乗り気じゃないんだけどね。

りんの事を気に入ってるから協力してくれるのかな。

りんってやっぱり誰でも魅了しちゃうんだよね。

その事実だけで妬けてくる。


りんの肌を見られたくないから廊下に出たら、ご丁寧な事に目を閉じた雷牙がいた。


僕が襖を閉めた瞬間、雷牙は目を開ける。


「で?だいたい目星は付いてるんだよな?」


楽しそうなところごめんね、雷牙。


「それが全くなんだよねー、とりあえずコレの痕跡を辿ろうかなーって。」


りんに刺さっていた苦無を見せると雷牙も懐から、桜花の贄に刺さっていた苦無を出す。


「これか。まぁ、そうするしか手はないだろうな。」


本人の思い入れのある物ならそれなりに辿れるはず。

雷牙もそう思ったから苦無を取っておいたんだね。


「とりあえずやってみようよ。」


収穫なし、なんて事には絶対にならないだろうから。

どんな苦痛を与えてやろうか、今から楽しみだなぁ。

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