遊雷
雷牙、帰ったら黒焦げにしてやる。
最悪だ、りんに僕の年を知られた。
りんはただでさえ怖がりなのに、僕が千年以上も生きている化け物と知ったらもっと怖がるかも。
何かりんの気にいるものをたくさんあげて気を紛らわせないと。
そう思い、神の世で一番栄えているところへ来た。
太い一本道には左右に店がずらりと並んでる。
僕が突然現れたから近くにいた神はみんな僕に頭を下げた。
本当に迷惑だよ、お前ら。
そんな事したら僕の方が強いって言ってるみたいなものだ。
「あの…遊雷、様!ここはどこですか?」
ほら……りんがこんな酷い話し方をしてる。
何で?僕たちここのところずっと一緒にいて何度も体を重ねたのに何で?何でこんなにすぐに距離が開くの?
何で…僕と堂々と一緒にいてくれないの?
「りん、どうしてそんな話し方をするの?
僕らって仲良しさんでしょ?」
りんは焦ったように答えた。
「お、おかしな事を仰らないで下さい!
周りの方に聞かれたら遊雷様が笑われてしまいますよ?」
りんこそおかしな事を言うよね。
僕を笑う神がいるのなら見てみたい。
「やっぱり、仲良くなれたと思ったのは僕だけ?」
「な//////何を言い出すんですか/////」
りんの反応を見るのが面白い。
「悲しいなぁ、僕の勘違いだったんだー。」
わざと悲しそうな顔をするとりんはさらに焦り始めた。
「ち、違う、違います!
ほ、ほら、遊雷様は私よりも年上ですから!
だからこのような喋り方でいいんです!」
え……?そんな事言ったら…
「一生…このままなの?」
待ってよ、そんなのどうしようもない。
たまたま先に生まれただけでどうしてこんな距離を取られるの?
そんなの理不尽すぎる。
「…歳なんか、関係ないよ。
りんよりほんの少し前に生まれたってだけなんだから。」
このまま、こんなくだらないことを理由に距離を置かれたらどうしよう。
一生、呼び捨てにしてもらえなかったらどうしよう。
「ほんの少しって…あの…遊雷様って千年以上前から生きていますよね…?
雷牙様がそう仰っていましたけど…。」
「……。」
認めたくなかった。
僕はどうしてか、ほんの少しでもりんと近くありたい。
体の距離も心の距離も歳でさえも。
りんはただでさえ僕との間に壁を作ろうとする。
そんなの、言葉で言われなくても雰囲気で大体分かっていた。
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