りん

遊雷に美味しいものをたくさんもらって、眠って起きて、またいろいろな物を見せてくれる。

そんな日が三日も続いた。

私の見たことのない物ばかりで楽しかったけど、私はある異変に気が付いた。


ここは、生き物の気配がしない。

鳥も虫もいないし風もない。


いくらあんな事があったからと言え、雷牙様や女中がいないのも不自然だ。

だから私は思い切って聞いてみた。


「ねぇ、遊雷。

私はもしかして神隠しに遭ってるの?」


私の質問に焦るでも言い訳するでもなく遊雷は優しく笑った。


「あれ、もう気付かれちゃったか。

どうして分かったの?」


やっぱりそうだったんだ。


「生き物がいないから。

後、風もないし雷牙様もいない。」


正直に言うと、遊雷に押し倒され着物の帯をゆっくり解かれる。


「雷牙に会いたいの?

僕といるのに?」


遊雷はにこにこしているけど、目の奥は笑っていない。

私は首を横に振った。


「遊雷といるから雷牙様には会わなくていい。」


ここで雷牙様に会いたいと言えばとんでもない事になるかも。

この独占欲が愛から来ていないことは知ってる。

独占欲と言うよりもこれはただの所有欲。


私はこのひとの物なんだ。


物は総じていらなくなったら処分される。

私はすぐに遊雷の首元に腕を回した。


「ねぇ、遊雷。

私がいらなくなった時はちゃんと言ってね。

私、遊雷に縋るような事はしないから。」


そうなれば私はどうなるんだろう。

遊雷に二度と会えなくなると絶望してその後も虚しく彷徨うんだろうか。


「何でそんなこと言うの?

りんの意地悪。」


遊雷が悲しそうな顔をした。


「りんは僕のでしょ?」


ふと気付いたことがあった。

遊雷は寂しがり屋だ。

おそらく、私よりも。

だからこそ人肌を求める。

雷牙様が遊雷は誠実ではないと言っていた。


今までたくさんの女の人と寝て来たんだと思う。

遊雷はきっと愛情に飢えているんだ。


「ごめんね、遊雷が大好きだから意地悪したくなったの。」


あなたには愛してると言えない。

それは言ってはいけない言葉だから。


「僕のこと、大好き?」


酷い、この神様は本当に酷すぎる。


絶対に私のものになんかならないくせに、心底幸せそうな顔をする。


「うん、遊雷のこと大好きよ。」

「//////////」


もう私もこの想いは止められないと思う。


だから、"愛していい"ところまで私がたくさん愛してあげる。


私が、遊雷を愛していいその日まで。

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