雷牙
りん………まさかそんな事を言うとは。
天才なのか?
見てみろ、兄様の顔を。
「…//////」
気持ち悪いくらい喜んでるぞ。
こんなにも嬉しそうに笑っている兄様を見たのは数百年振りだ。
「雷牙、明日行こっか。」
「あぁ、そうしてくれ。」
りんは無意識に兄様を手懐けている。
これは奇跡に近いぞ、こんな逸材に出会えるなんて…。
「雷牙、明日の朝一で行こうか。」
これは本当に兄様か?
兄様から朝一なんて言葉聞いたことないぞ。
「あ…あぁ、朝一でいい。」
「よし、じゃあ僕もう寝るね。
りんが寂しくないように一緒に寝ないといけないから。」
兄様はこれまでにないくらい素早く立ち上がり、りんを抱き上げて部屋を出て行ってしまった。
兄様…りんに食わせてばかりで自分はほとんど食ってないだろう。
何もかも突然すぎる。
寝ると言っているから残りは俺が食うか。
しかし、寝るには少し早すぎる気もするが…。
りんもこんな時間から寝れるのか?
ってちょっと待て!!!!!
「兄様!!!
いい加減にしろ!!!
同じ部屋で寝るな!!
りんが可哀想だろ!!!」
俺は一番大切な事に気がついて急いで兄様の後を追った。
「兄様!!!」
兄様の事だ、何もしない訳がない。
兄様の部屋に近づくに連れ…
「ゔっ…くっ……くそっ……!!」
足が重くなっていく。
と言うより…
「正気か!兄様!!!」
兄様の稲妻が俺の足に絡みついて離れない。
自分の家の廊下に罠を張る馬鹿がどこにいるんだ!!
「くっ!!こんなもの…!!!」
まさか床を這う日が来るとは…!!!
兄様の部屋に近付けば近付く程体が重くなる。
まるで大きな岩に体を押しつぶされているようだ。
「ゔっ…ぐっ……!!!」
ひたすら進もうと床を這っている俺に追い討ちが来た。
黒い光でできた大蛇のようなものが俺を丸太のように締め上げてきた。
「……。」
手も足も全て拘束されもうなす術がない。
なぁ、兄様。
この拘束知ってるぞ。
兄様が得意なやつだ、解くのに最低でも八時間はかかる。
冗談だよな?
八時間後は余裕で明朝だぞ?
まさかこのままか?
俺を廊下のど真ん中で寝かせる気か?
正気なのか…?
いや、愚問だな。
兄様は普通に頭がどうかしている男だ。
もうこうなったら腹を括るしかない。
俺は今日、ここで寝る。
いや、待てよ。
待て待て待て。
そもそもおかしいだろ。
俺が腹を括る必要は一つもない。
俺は正論しか言っていないはずだ。
嫁入り前の女を気軽に寝室に入れ、たった一人の弟を罠にかけ丸太のように締め上げる奴の方が確実に間違ってるよな?
誰に聞いても兄様が正しいという奴はいないだろう。
よって、俺はここで寝てやる義理は一つもない。
とりあえず騒いでみるか。
りんに不埒なことが出来ないようにしてやる。
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