遊雷

「あれ?寝ちゃった?」


もう少し遊びたかったなー。

仕方ないか。


「ねー、誰かいる?」


僕がそう問いかけると…


「はい、遊雷様。」


名前は知らないけど女中の誰かが来た。


「僕は血を流して行くからりんの世話を頼むよ。

りんに何かあったら殺すからね。」


もちろん、僕が思いつく最悪な方法で。


「かしこまりました…。」


僕がりんを渡すと女中はりんを大事そうに抱えて連れて行った。


僕もさっさと上がってりんと一緒にいよう。


それでりんが目を覚ましたらまた可愛がってあげればいい。


風呂から上がると僕の部屋の布団にりんが眠っていた。 

可愛い…。本当にもう僕のなんだ。

僕も隣に寝転んでりんの頭を撫でた。

この時間が一番癒される。


でも…


「早く起きないかな。」


早くりんと話したい。

もっとりんと触れ合いたい。

僕、大丈夫かな?

ずっとりんの事ばかり考えてる。

りんはどうなんだろう。

りんはいつも何を考えているのかな?

僕のことを考えてくれているならすごく嬉しい。


でも、僕以外のことを考えているならそれは面白くない。


不意に、さっきの光景が目に浮かぶ。

桜華の遣いでやってきたあの贄。

名前は白だったっけ?


別に何色でもいいけどさ、りんに興味を持っているのなら許さない。


僕のりんだ。

あの贄は今にも触れそうな距離だった。

僕の方が先にりんを見つけたのに。

僕のりんなのに。


それなのに……アイツとりんはすごく仲が良さそうだったな。

僕といるより、りんの雰囲気が和らいでいた。


あんな気の抜けた表情かお、僕にはしないくせに。


りんはいつも緊張してる。

人前では必ず離れようとするし、僕の前では体の力が抜けている事の方が少ない。

僕が神だから、と一定の距離を取ろうとしているのも分かってる。


そんな事は関係なしに僕にぐずぐずに甘えればいいのに。

いつか、小さくて真っ赤な唇に言わせたい。


僕なしじゃ生きていけないって。


あの贄よりも僕がいいって…。


どうしてこんなこと言ってほしいんだろう。


僕は、りんをどうしたいのかな…。

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