遊雷

りんが僕にギュッとしがみついてる感じが可愛い。

それに…


「遊雷…本当に嬉しいよ、ありがとう////」


この笑顔、もうたまらない。


「可愛いー。」


「りん、あまり神の血に触れるな。

体質によっては障る者もいる。」


雷牙がりんを離そうと手を伸ばしてきた。

もちろん、りんに触れさせたくない僕は…。


バチッ。


雷牙の指先に稲妻を走らせた。


「おい、兄様。

痛いだろうが。」


「何が?僕分かんないなー。」


りんが不思議そうに雷牙を見る。

その視線でさえ、僕は許せそうにない。


「あ…!ご、ごめんなさい////」


りんは我に返ったらしく、すぐに僕から離れてしまった。


「りんは僕に何をしてもいいんだよ?」


僕がそう言ってもりんは顔を真っ赤にしてまた一歩下がった。


離れてしまった事は残念だけど、あの遣いの贄のことは忘れてるみたいだしいいか。


「あの……遊雷…。

どうしてそんなに血塗れなの?

もしかして遊雷が怪我したの?」


え?僕が怪我をした心配してるの?

僕を?この僕を心配…?

僕はあまりに珍しい質問に驚いて雷牙を見た。


「雷牙、聞いた?

僕のこと心配してるよ。

すごく可愛いと思わない?」


雷牙は死んだ魚のような目をしていた。


「あぁ、何とも可愛らしい質問だな。

いっそ、怪我した方が言い訳のしようがあったんじゃないのか?」


「言い訳?…雷牙様、本当に遊雷は怪我をしていないんですか?」



あ、りんが雷牙に話しかけちゃった。


「あぁ、心配するなら元主人を心配してやれ。

多分今頃首をくっつけるのに苦労しているだろうからな。」


「え?首をくっつける!?」


ドカーン!!!!!


「い゛っ!!!!!」


口を滑らせた雷牙に雷を落とした。


「くっ…そ…!!痛いだろうが!!兄様!!!

とち狂うのも大概にしろ!!!」


あ、怒らせちゃった。


「えー、僕狂ってないよ。」


「嘘をつくな!!!!

山神の頭を取っては付けて遊んでいたくせに!」

「頭を取っては付ける!!?」


あ、それは言っちゃ駄目なやつ。


ドカーン!!!!!

「あ゛!!!」


あ、強く打ちすぎて雷牙がひっくり返っちゃった。


「雷牙様!」


優しいりんはひっくり返った雷牙に駆け寄ろうとした。


「わー、危ない危ない。

絶対に触ったらいけないよ?

物凄く痛いから。」


「え?じゃあ雷牙様も物凄く痛いってこと…?」


これって僕がやってる事ってりんにバレてるから馬鹿正直に痛いなんて言ったらマズいよね?


「雷牙は痛くないから大丈夫だよ。

大袈裟な男だよねー。」


「そ…そうなの?」


「痛くないわけないだろ!!

兄様の雷は過去のらいじ」

ドカーン!!!!!

「ひゃっ!!!」


全く、雷牙はお喋りが過ぎるね。

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