雷牙
この勝負、貰ったぞ兄様!!!!
「兄様、その通りだ。
怖ーい閻魔様の元へ行かないとなぁ?
閻魔様の召集を蹴るなんてそんな事はしないよな?」
りん、お前に感謝する。
りんのおかげでイかれた兄様を閻魔様の元へ引きずって行けるんだからな。
「閻魔様の召集を蹴るなんて、この神の世で一番強く誰も逆らえない神だと自負しているような物だ。
兄様はりんに近い可愛くてか弱い神だから行かないとなぁ?」
俺がそう言うと兄様の瞳の奥がスッと冷えた。
他の者なら兄様のこの表情を見て謝り倒すだろう。
でも俺は違う。
確かに兄様は強くてたまに怖いが俺は弟だ。
兄様の弱点ならいくらでも突ける。
「今日の雷牙はちょっと可愛くないね。」
あぁ、元来俺は可愛いなんて言葉が当てはまる男じゃない。
「そうか?俺はいつも通りだぞ?
兄様こそ今日は少し目つきが悪い気がするが…。
りん、お前はどう思う?」
りんに話を振ると、りんは顔を上げ兄様の顔を見上げた。
その瞬間、兄様は殺気も威圧感も全て無くしりんを見つめる。
「雷牙は目が悪いんだよ。
僕、全然目つき悪くないでしょ?」
兄様がありえないくらい優しい声でりんに聞くと、りんは少し笑って頷いた。
「ほら、兄様。
さっさと支度をしないとな?
閻魔様は兄様よりもずっとずっと怖い方だ。
遅れるとまずいんじゃないか?」
あぁ、こんな最高な日が今まであっただろうか。
「そうだねー。
雷牙はせっかちだなぁ。
せっかちな男は将来禿げるらしいよ?」
俺が兄様を言いくるめる日が来るとは。
「禿げたら坊主にするまでだ、俺は庭で待ってるからな。
急いで準備してくれよ?か弱いか弱い兄様。」
俺が手をヒラヒラ振り部屋を出ると兄様の片方の眉が少しだけ動いた。
自分の思い通りに事が進まず苛立っているんだろう。
いいさ、存分に怒れ。
兄様がりんに本当の姿を曝け出せない間はちゃんと利用してやる。
これでも乱神と言われている兄様の弟だ。
悪賢く行かせてもらうぞ。
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