第66話
「茜くんはさぁ、話すと結構面白いのにね」
「え、ほんとに?」
「なんか、いろんなこと知らない分、教えたらすぐ覚えるし…興味のあることはどんどん聞いてくるから…こっちも教えがいがあるっていうか、」
「それ、なんか、面白いと違う気がする」
「確かに」
笑いながら店内を掃除する小舘さんに「そう言えば」と、
「高校は決めた?」
「………あ、」
「決めてないな?この不良ボーイは」
「…その言い方やめたほうがいいと思う。ダサい」
「! 人をお洒落だってあんなに褒め称えてくれた茜くんにダサいって言われた!」
「高校は……たぶん、間に合わないよ」
「え?」
「俺、ずっと学校に行ってなかったし…」
それに家のことがある。受け入れてくれる高校なんてある気がしない。
親父も、学校に行くくらいなら、家でしっかり組のことについて学べってうるさいし。
「どんな高校があるとかも、わかんないし…」
「……あっ、それならさ!」
小舘さんは、何かを思いついたように店の奥に入っていく。
そして、スマホを弄りながら戻ってきて、ソファに座っている俺にこう言った。
「おすすめの高校あるんだけど、どう?」
「え?」
「有松北高校って学校知ってる?こっから、少し遠いんだけど…ちょっと訳ありでも受け入れてくれるような学校なんだ。…校風も自由で、…あ、こんな感じ!」
スマホの画面を見せられる。そこには学校のページが載っていた。
至って普通の、何の魅力も感じられないような学校に見える。
「ここさ、テストさえ乗り切れば別に授業も受けなくていいし、まあでも俺的には授業は受けた方がいいと思うけど…、茜くんもこういったところなら、行きやすいんじゃない?」
「へぇ…そんなところあるんだ…」
「まあ、やんちゃな生徒が多いけど…その分、楽しいヤツも多いよ?根は良いって感じか。だからきっと友達とかも見つかるかも。…変なの多いし」
歯を見せるように笑いながらまたスマホを弄って、そのまま近くにあったテーブルに置く。
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