第59話

教師もまたその中の一人だった。


今まであんなに偉そうだったのに、急にへりくだって、…まるで俺の機嫌を損ねないようにしていて。


ずっと、ずっとずっと気持ち悪かった。


気持ち悪くて、悪くて、悪くて、


ある瞬間、何かが俺の中ではじけた。



ブチィ、って太い縄が千切れるような音が脳内でして。


気付けばその体育教師と、何人かの教師が足元に倒れていた。


俺の周りには壊れた教室の机や椅子、それから折れた箒や破れた教材が散乱していた。


それから、血が、ポタポタって、俺からも、体育教師や他の人からも流れ出ていて。


なんだこれって、すごく他人事のように首を傾げてしまう。

周りの人間が泣きながら、俺に謝っている。何故?

何故、謝ってるの?意味がわからない。

俺は暴れたくて、暴れた。

この環境に、嫌気がさしたから、


それだけ、


「っ、く、」



それだけだよ。



「っふ、っはははははははははははははっ!!あははははは!!あっはははは!!!!!!」


周りの人間が、恐怖に塗れた顔で、俺のことを見ている。それはまるで、化け物でもみるような目つきで。


ああ、でも知らないよ、そんなこと。


俺はもう、〝俺〟として扱ってもらえないのだから。

どんな〝俺〟にでもなってやろうと思った。


人にどう見られても、どうでもいいことだった。

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