「っ、や、すじさん…！」

「何やってんだオマエら。つーか、コイツ」

太陽がその赤髪に光を通す。

見え隠れする八重歯と、強気に上がった眉。

久しく見ていなかったと思えるその姿は、やはり威厳があって、

眩くて、頼りがいがあって、

やっぱり、あたしなんかでは到底足元にも及ばない。

気持ちの片隅を安心させつつ、顔の力を緩める。

泰司さんはその上がった眉を怪訝そうに寄せ、あたしの上にいるアカネくんを長い足で押した。

ゴトッと、随分と痛そうな音を立てて、セメントへと横たわったアカネくんを更に蹴って、

「……一体、何でこんな状況になってんだよ…？」

あたしが最も呈したい疑問を、先に口にする泰司さん。

「あっ、あたしにも……さっ、さっぱり…で…す」

小さな声でそれ答えれば、彼は「ハァ？」と眉を顰めて、アカネくんの姿をもう一度、確認する。そして、少し間を空けた後、

「………見せたんだな、コイツ」

「え…？」

「刺青」

「あ………」

「……ハァァァアア」

「！！」

あたしが反応するよりも先に、泰司さんにしては盛大すぎる溜息を吐き出された。

「……オマエという女はどこまでスゲェんだよ」

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