第45話

そこまで言われて、はっ、とした。


確かに、あたしから見たらその模様は、格好良く素敵だとさえ思えた。




でも、どうだろう。


アカネくんのことをよく知らない、一般の人、他人の目から、〝それ〟を見てしまったら、


どうだろう。





「そこから凄かった。一瞬で、周りから誰ひとりいなくなって、友達であっても教師であっても、話しかけようものなら、怯えられるし、泣かれるし…何もしてないのに勝手に向こうが恐怖を抱いて、俺から遠ざかって、俺をいないものとして扱ってた」




想像する、


明日から突然、周りから誰もいなくなることを、




「機嫌を損ねないように、腫れものに触るように」



周りに、怯えられて過ごすことを。




「〝これ〟があるばかりに、関わらないでって涙ながらに懇願されたこともある」



「……」



「不安にさせて、不幸を招く、そんな存在。だから、ずっと〝これ〟は隠してきた。そうしないと、」



「……」



「俺はみんなから、〝人〟として接してもらえない」





空を見上げながら、アカネくんがそれを続けた。



一際、強い風が吹いた。



その風が、その白い身体に入った鷹や桜を、遠い空の彼方に飛ばしてくれる、なんてことはない。



アカネくんの身体から、それが離れることはないんだ。



一生、


永遠に。

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