第43話

ゆっくりと、カーディガンのボタンを外した。






「えっ、あ、あの…」



「ほら、触って」



「っ、」




手を取られて、そのまま頬に触れさせられる。




「…どう?」



「や、柔らかい…です」



アカネくんの頬は、すべすべで柔らかい。



って、そこじゃない、問題はそこではない。


気付けば、アカネくんがシャツのボタンも外し終わって、いよいよ黒のシャツ一枚に。







「っあ、あの、本当に何を…!」



「もう多分、これを逃したら見せらんないと思うから」




アカネくんが、いよいよシャツの袖を掴む。



「ひっ、」


あ、ちょ、ちょっと待ってください…!!


そう声を出す間もなく、アカネくんはシャツを戸惑いなく脱いだ。


あたしは顔を咄嗟に押さえて、アカネくんは「はー…」と何やら小さく息を吐き出す。






あたしは指の隙間から、目の前に現れたアカネくんの色白の上半身……、




「……ぇ、」



ではなく、




「どう…?」



アカネくんが問う。



あたしはそう問われる前に、その肩に描かれた鳥と、腕や背中に描かれた桜の刺青に、既に目を奪われていた。



太陽の光が、その白い身体…と、その奇抜な刺青を燦々と照らす。


瞼を上げ、あたしを緩慢とした動作で見つめるアカネくんは、首を傾げた。







「怖い?」



「……きっ、」



「……、」



「綺麗です!」



「え…?」



「すっごくすっごく綺麗です!それに格好いいですね!!その鳥はなんですか!?鳳凰ですか!?」



「あ…、鷹…」



「鷹!!!」

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