第40話
□
「ねえ、試してみる?」
「……、」
「トップが光になれるか」
光に、なれるか?
「どういう…ことですか…?」
「俺は、トップに光になってほしいの。でもその為には、光になれるっていう証明がないと、って思うんだよね」
「は、はい……」
「でも、例えば、〝これ〟を見せて、トップがどんな反応するのか、とか、怖がって引いちゃったらどうしよう、とか、考え出したらなんか、急に勇気が出ない、っていうか」
「……?」
「でも、トップに光になってほしいし」
「………」
「なんかすごい矛盾してる。なんでかなぁ…あまり人に見せたことないからかなぁ…なんか躊躇する」
急に考え込むように膝に顔を埋めたアカネくんに、あたしは何を言っていいのかわからず、でも、
「あの…」
「……ん~?」
「あまり、無理はしなくて、大丈夫ですよ…?」
「ん~……でも」
膝に顔を埋めたまま、ゆらゆらと前後に揺れているアカネくんと向かい合うように正座をする。
「…その、光には…なれるかわかりませんけど…努力はします。だからアカネくん自身が無理をするというのは…」
「………」
「アカネくん…?」
返事がないので、その肩にそっと手を置く。
アカネくんはゆっくりと顔を上げて、あたしと目を合わせた。
こんなに真正面で顔を合わせるのは、なんだか気恥ずかしくてあたしは笑ってしまう。
「…どうしたの?」
「ごめんなさい、なんか恥ずかしいですね」
「…そう?」
首を傾げるアカネくんに、あたしはあー…と眉を下げた。
アカネくんも冬馬さんと同じでパーソナルスペースの狭い人だから、至近距離で目が合おうと気恥ずかしさなんてきっと感じないのだろう。
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