第35話

「…たまらない、堪らないです翡翠様!!なんですかなんなんですか!?その怒った顔!そしてそのイライラした口調なのに弱った声圧!…この里見!なんか猛烈に堪らないんですけど!?」



「………」



「どうしたんですか!?急に黙りこくってしまって……ハッ!?まさか熱がそんなに進行して!?それはいけない!今すぐ医者に!!だれかー!!だれかーすぐに町医者をぉおおお!」



「………」



「翡翠様!本当に大丈夫ですか!?いきなりそんなに黙らないでください!翡翠様の罵倒が一つもないというのは、この里見は生きている価値すら感じることが出来ませぬ故、何卒「ちょっと黙れ」



「では何故、口を閉ざして…」



「お前の言動が気持ち悪過ぎて言葉すら見失ってたんだよ、わかれよ」



「はぁあああその蔑んだ目、病気も相まって最高にgood!!!今すぐに写メってfacebookにあげますね!!?いいね!1000件待ったなし!!」



「そのフェイスブッダとやらがなんなのか知らねえけど…もしやったら二度とお前とは口利かないからな」



「え?フェイスブッダ?」



里見が一瞬素になった後、「笑わせないでください」と、物凄い勢いで顔を押さえていた。



「誰がいつ、そんな悟りでも開きそうな顔をしましたか?笑わせないでください髪の毛引っこ抜きますよ?」



「何言ってんだよお前…」



「いや、それはこっちのセリフです」



「は…?」



「だっ、」



「?」



「だって!!フェイスブッダってっ!!!!!!たはっ!!!!!」




ぶふーっ!!と思い切り無遠慮に噴き出す里見に、翡翠は意味もなく、カチンときた。


一瞬でバカにされたことだけはわかった。

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