第21話
不意に、中学の頃を思い出す。
微かな記憶に残る、アイツの諦めた顔。
クラスメイトを、殴って、蹴って、ボコボコにして、
一人で教室に佇んでいたアイツの顔。
その時とは、まるで正反対の顔をしていた。
「…ハッ、」
成長したんだな、オマエは。俺と違って。
きっと、進むべき道が見えてきたんだ。
「うるせェよ、テメェには関係ねェっつの。これは別に、オマエらのためなんかじゃねェ、状況をなんとかしようってわけでもねェ」
これは、俺の、
「……勝手な罪滅ぼしだ」
リュウの眉が動く。
その瞬間を見逃さなかった。
俺は、すかさずヤツの懐に入り、その腹めがけて拳を入れる。
コノエが至極驚いた顔をしている。
それを視界の端で捉え、構わずもう一発、その腹に、拳を入れ込む。
そのまま踏み込んで、蹴りを入れようとしたら、
「っ、油断した~、」
リュウは「あっぶねー」と言わんばかりに、腕でそれを塞いだ。
「チッ、」
「やっだなぁ、ミク。そういう卑怯な所、相変わらずだ、ねっ」
と、いかなる時でもその鼻につく緩い笑みを浮かべながら、リュウが蹴りを入れてくる。
それを塞ぎながら、俺は「オマエこそ、」と、
「左ばっか狙ってきて、相変わらずクズだな!」
「あったり前じゃん、何年一緒にいると思ってんの?お互いの弱点なんてお見通しでしょ?」
リュウからの蹴りを塞ぎながら、コノエ、そしてシキに、意識を散らせる。
……こいつ、疲れてる。
いつもよりかなり動きが鈍い。
そりゃそうか、コノエから負担を減らせるために自分が大きく動いて、大勢を相手にしていたのに加え、
俺から二発も腹に拳を食らって、平気で立っているなんてことがオカシイ。
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