第17話

「…りが…ありがとうっ、ございます…っ…ありがとうございますっ……」



「泣かないで…?」



絡まった小指を、左手で覆うようにぎゅっと握りしめる。





「…名前もっ……」



「あー……うん、なんか、今さら言うと、照れ臭いね………」



「うれじいでずううう…」



「わー!鼻水!!めっちゃ出てるよ!?」



「是非これからも名前を呼んでぐだざいいいい」



「あ、うん……でも若干、怖いんだよね………特に伊吹くんと…リュウが………」



「え゛っどうしてでずが……?」



「あー…どうしてだろうね…?男の嫉妬は怖いからねえ…」



「?」



「なんでもない。とりあえず、ティッシュ持ってくるからここにいて」



はぐらかすように笑ってトラくんは自分の部屋に入っていく。


あたしはその姿を見ながら、鼻水を啜り、


「……ありがとう…ございます……」


そう、小さな声で再度、お礼を言った。

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