第15話
「家族……」
「え…?」
「妹…友達…うーん、なんだろうな……」
「……?」
ブツブツというトラくんに、あたしは首を傾げる。
「俺にとってオサゲちゃんはすっげえ大切ってことはわかるんだけどなぁ」
「!!」
「でもなんて言えばいいんだろうねぇ……」
考えるように目を細めてあたしを見るトラくんに、慌てて「あ、あたしもです!」と手を上げた。
「あたしもトラくんがす、すっげえ大切です…!」
「ふはっ、変なの。オサゲちゃんがすっげえって」
「ほ、本当です!トラくんがいなくなったら、あたし!泣きます!」
「それは想像つくな」
「それから、大声で探します!」
「うん。それで?」
「それで……見つかるまで、走って…見つかったら思いっきり抱きしめます!もう離しません!!」
「じゃあ、俺もそうする」
「え…?」
「俺もオサゲちゃんがいなくなったら、泣くし、大声で探すし、走って見つけたら思いっきり抱きしめて、」
瞼を上げて、あたしを見る。トラくんの目が真っ直ぐとこちらを見据える。
優しげな空気が、一瞬だけ、形容しがたいけれど、一瞬だけ、
ぎゅ、と、引き締まったように感じた。
「もう、離してあげない」
「…!」
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