第14話

「どうしたの?」



「っ」





子供に優しく訊くように、トラくんはあたしと目を合わせながら、優しく訊いてくれる。


トラくんはいつだって優しい。


トラくんだけじゃない、リュウくんだって、ミクさんだって、翡翠さんだって、冬馬さんだって、泰司さんだって、


みんなとっても優しい。




そんな人たちと、一緒にいられなくなるのは嫌だ、


嫌だ…な。





「あの…トラくん」



「ん?」



「…訊いてもいいですか?」



「いいよ」



「トラくんにとって、あたしは…どんな存在ですか……、離れても、ずっと…仲良くしてくれますか…?」




ぽろ、と零したそれにハッとする。


思ったことを、直接的に言いすぎた。




「あっ!いえ…違うんです…!いや…違う…というか、いや、えとっ、」



「なに言ってるの?」



本当、何を言っているのか。


こんなの急に言われても意味がわからないだろうし、トラくんの声も凄く困って……、




「当たり前じゃん」



「えっ」



「オサゲちゃんが良ければ、俺は一生、オサゲちゃんと仲良くしたいと思うよ?」



「…!」



「オサゲちゃんは?」



「あっ、あたしも…!あたしもトラくんと!一生、仲良くしたいです!!」



すぐに答えれば、トラくんが少々口角を上げて、目を細めた。


男の子らしい、大きな手があたしの頭を撫でる。


トラくんの、ところどころについた指輪がゴツゴツとするかと思ったけれど、全然そんなことはなかった。

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