第11話

「なんで水波はそんな冷たいの!!そんなこと言ってると一生独り身だからね!?いいのね?!…あーあ、知~らない。ひとりぼっちでおじいちゃんになっても、俺は絶対に遊んであげないからね?!」



「頼んでないし、話飛躍しすぎ。あと本当に黙って」



「水波のアホ~いけず~ろりこん~」



「うるっさい!」



片柳のあまりのうるささに、柄にもなく声が大きくなった時、




「なんだ、お前もそんな大声出すんだな」



不意に横を見れば、濡れた頭を拭きながら冬馬さんがケラケラ笑っていた。


思わず握っていた拳に力が入り、顔を逸らす。




「……早くないですか」



「シャワー浴びただけだ、急いでるつったろ」



今のくだらないやりとりを見られていたのかと思うと…若干嫌になったので、俺は片柳を軽く睨んでから、また溜息を吐いた。





「……今からどこへ行くんですか?」




部屋に入ってきてすぐ、置いていた携帯をいじっている冬馬さんに投げかける。


一緒に行くなら、場所くらい知っておきたい。



冬馬さんは「んー…」と、しばらくして携帯の画面から顔を上げると、




「敵の陣地」



何気ない顔でそう答えた。

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