第10話
「……気になる?」
「別に。興味ない」
即答するけど、片柳は構わず続ける。
「水波はさ、俺が……たとえば人間…じゃなくて、うーん、そうだなぁ、怪物みたいな……いや、ちょっと違うかぁ」
「何が言いたいの」
「なんか上手く言葉に出来ないんだけど……普通の人間と違ったらどうする?」
ふわふわした言い方をする片柳は、俺を見ながら首を傾げる。
奇妙な質問。そんなの、
「片柳は片柳だし…、今さら何を言われても見せられても、印象は変わんないけど」
「……」
「片柳が〝普通の人間〟じゃないって言うなら、……俺も〝普通〟とは全然違うよ」
大体、〝普通〟って何を基準にして言うのか。
世の中の基準って、一体、いつ決まったのか。
そんなことを考え出したらキリがないけれど、少なくとも俺の目に映る片柳は、怪物なんかではない。少々しつこくてうざい、同学年の男である。
―――と、
さして当たり障りのない答えをしたつもりだったのだが、ずっと表情が変わらなかった片柳が目を見張り、驚いた顔で俺を見た。
あ、と思った時には、片柳が心なしか目を輝かせて俺の目の前まで来て、
「やっぱ、水波って凄い!」
「は…?」
「さすが俺がライバルと認めた男!水波が世界中の人間を敵に回しても、俺は味方でいるって決めた!昨日の敵は今日の友!!」
「いや、世界中を敵に回すようなことしないしっていうか物理的に無理だし、ライバルとか本当いい迷惑なんだけど…別に昨日の敵は今日も敵でいいです」
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