第2話聖女様と一緒に暮らす事になりました

「えぇ~と~どちら様ですか?」ドア越しから、自分の目の前にいる。

 彼女の素性を聞きだす。駿にたいし、先ほど自身を聖女と名乗った。

 彼女が、笑顔で答える。「私は、アサと申します。本日より、立川駿様の元で

 お世話になる者です」律儀に一礼をする。アサに、駿は戸惑いながら。

 自分を頭を下げる。「お世話になるとは、どういう意味ですかかねぇ?」

 「はい。本日より、立川様と共にこちらの家に暮らし。立川様の身の回りの

 お世話をしようと思っています」ニコッと笑う。アサに、思わず。

 ドキッとしてしまった。駿は、荒い呼吸を整え。アサの顔を見て

 言葉を吐き出した。「言っている意味がわからないですが?」

 駿の疑問に、アサが笑顔で答える。「聖女としての務めなのです」

 「はい?」「立川様のようなお疲れになられた。皆様に、癒しと

 心の洗浄を行っています」「はぁーそうですか・・・・・・」

 これは、何かの宗教的な勧誘なのでは?そう駿は思い。

 ドアチェーンを掛け。この女が、家に侵入するのを防ごうとする。

「うちそういうの興味がないので、他を当たってくれませんか?」

 「はい?」「自分、確かに心を病んでいますけど。そういう宗教的な奴に

 入るつもりないので」「あ、あの~」「もちろん。そういうのを否定は

 しませんよ。信じる人は、思う存分信じてください。でも、僕は

 そういうの興味がないので。それじゃあ」そう言い。駿は、ドアを閉めようと

 した。次の瞬間。アサの綺麗な真っ白い手が、閉めようとする。

 ドアを抑える。

 「ま、待ってください。私は、宗教の勧誘に来た訳じゃありません」

 アサは、小さな体が弾けそうなくらいの大きな声量で、立川駿の顔を

 見つめる。「私は、あなたを助けたいんです」「それを勧誘って言うんじゃ

 ないんですか?」駿は、アサの綺麗な手を怪我させないように。

 ドアを軽く閉めようとしている。「私は、聖女として。立川様に

 元気になってもらいたいんです」「自分、そういう店には行かない人なので」

「ち、違います。私は痴女じゃなくて、聖女なんです」二人の攻防を遠目で

 見つめる。マンションの住人。「私は、心の底から。立川駿様に元気に

 なってもらいたいんです。それだけなんです」アサの必死な言葉に

 旬は、ドアを閉めるのをやめた。付けていたドアチェーンを外し。

 そのままドアをゆっくり開け。アサの顔を見つめる。

「あんまり大きな声を出さないでください。近所迷惑になりますから」

「す、すみません」アサの頬が薄っすら赤く染まる。「あなたが初めてですよ」

「はい?」「僕に元気になってもらいたい。なんて、会社の上司も同僚も

 誰も言われた事がないです」口角が少し上がり。アサの薄く赤く染まる。

 顔を見つめ。アサに声をかける。「とりあえず。話だけは聞くので

 部屋に入ってもらいますか?」そう駿が言うと、アサは弾けそうな笑顔で

 「はい」と大きな声で答える。自身を聖女と名乗る。謎の美少女アサとの

 出会いは唐突だったと感じる。鬱になって、一か月後の出来事だった。

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