World22 実力を試されてるってマジっすか!?

俺達はさっそく、町の外にやってきた。


「魔物!」


ミラが気づき、俺達は構えた。


「【火爆ブラスト】!」

「【岩柱ロック・ピラー】!」


魔法を使えばあっという間に倒せる程度の魔物だ。アルバリアの魔物よりも弱い。


「【風刃ウィンド・カッター】」


ロジェも実力者であるというのは確からしい。銀級魔法までを軽く使いこなすくらいだから、実際は彼一人でもなんとかなりそうである。

それなのにミコは俺達に依頼を出した。一体、どういうつもりなのだろうか。


「うわー、これはすごい」


パチパチと手を叩いてないで今のうちに薬草を採取してほしい。いくら弱いとはいえ、時間をかけたくない。


「【粘土弾クレイ・バレット】!」


ミラが足止めをすると、メイナがトドメを刺す。さすが姉妹、連携が素晴らしい。


「良い連携だね」


ミコは早く薬草採取してほしい。俺はともかく、ロジェの魔力が心配だ。




「お、終わった……」

「ありがとう、これで充分集まったよ」


満足気に笑うミコ。それならよかったんだけど、ちょっとゆっくりしすぎなんじゃないかなあ?


「にしてもソウタくん、基本的に本気は出さない主義なんだね」

「ソウタが本気を出したらこの草原が焼け野原になる」

「さすがにそれはない。ありえない」


ロジェはバカにするけど、マジなんだよこれ。証人もいる。

あとメイナも露骨にイライラしないでね。依頼主の1人なんだから。


「あながち間違いでもなさそうなんだよね、魔力総量を考えれば可能かも」


ミコ、鋭いな。まあ、その魔力総量すらも誤魔化しているんだけど。いやー、隠し事が多いな。俺。




5人でギルドに帰り依頼報告をすると、ミコの家に招待された。


「ロジェのごはんは美味しいんだよ!私よりも料理の腕が立つからね」


そうドヤ顔で言うミコだが、ロジェの方は顔をしかめて心底嫌そうに料理を作っている。


「なんで俺がこんなガキに飯を作らなきゃいけないんだ……!」


ガキはお前だよ。そんなに顔に出すなって。


「ところでメイナちゃん、ミラちゃん、ランクアップおめでとう!」

「ありがとうございます」


そう、メイナとミラがこの度Cランクに上がったのだ。


「やっとだよー。ここまで来るのに時間かかったなあ……」

「ミラちゃんはこの国で最速なんだったね?」

「そう、でもまだまだ。ソウタがすぐに更新するだろうから」


ちなみに今の俺のランクはE。でもDに上げるにはかなり依頼をこなさなきゃいけない。

ミコもメイナもキラキラした目で見るけど、プレッシャーがすごい……。

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