World25 大型クエストが出たってマジっすか!?

 俺はミコやロジェと別れ、3人でギルドを訪れた。


「ソウタさん!指名依頼です!」


 ……多分あの人だろうな。ミコの行きつけのお店の店主、オーヴェン。

 一体何の依頼だっていうんだ……。


「クリスタル・ベアの討伐依頼?」


 クリスタル・ベア。俺が考えた、水晶のような石を頭につけたクマだ。考えた理由は一つ。なんかカッコよかったから。ほら、モンスターの定番だと思うんだよね。体の一部から貴重な鉱石が採取できるやつ。


「指名依頼とはいえ、拒否権がありますので……」

「いや、受けます」

「「え??」」


 メイナとミラ、ギルドの受付嬢が声を揃えて言った。というか、ギルド内がなんだかざわついてるぞ。


 俺、何かおかしいこと言った?


「クリスタル・ベア。ソウタも知ってる……よね?」

「うん。頭に水晶つけた、でかいクマ」

「分かってるならなんで受けるの!?」


 なんでって……会ってみたいからに決まってる。俺が考えた有機物だぜ?お目にかからないなんて選択肢はないだろう。


「ソウタさんはもしかしてご存知ないんですか……?クリスタル・ベアはAランクの魔物ですよ」

「……ヱ?」


 Aランクって、俺達が普段討伐してるEランクより4段階も強い魔物ってこと?マジ?


「え、でもエッジドラゴンとかより弱いよね……?」

「そんな神話級の魔物を引き合いに出さないでください!」


 アイツそんな強いんだ……ますます会ってみたいんだけどなあ。ミラとメイナがうんって言わないだろうな。


「大体、なんでオーヴェンさんはソウタにそんな依頼を出したんだろう?」

「オーヴェンさんは鑑定魔法持ちらしいですが……自己申告なのでわかりません」


 なるほど。鑑定魔法がどれだけのものかは分からないけど、俺の神の力もその魔法があればバレるんじゃないか?


「やっぱり受けますよ」

「ソウタ!」

「メイナ、止めても多分無駄。ソウタは原初魔法を使えるんだよ。クリスタル・ベアとも渡り合えるかも」

「ミラ……」


 心配するのも無理はないよな。だって相手はAランク。普通に考えて、メイナやミラでも相対することはない魔物だ。


「1人で、受けます」


 メイナとミラは、残念だけど連れていけない。俺は神だからなんとかなるけど、メイナとミラまで守るのは無理かもしれないからだ。


「ソウタ、私達は足手まとい?」

「……残念だけど」

「そう」


 メイナ、泣かないで。俺は必ず帰って来る。ミラも、武器の手入れでもしてゆっくり待っててくれ。


「明日ここを出る。行ってくるね」

「……うん!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る