商業都市ルウォーリ
World19 泊まるところがないってマジっすか!?
あちこちに並ぶ店。にぎやかな雰囲気。ほのかにする焼き鳥のような匂い。
「ここが、ルウォーリ……!」
「聞いていたよりにぎやかな街。楽しみ」
「すっごーい、大きな建物がいっぱい!」
俺達は馬車の運転手から報酬をもらい、馬車を降りた。
「まずは冒険者ギルドに行かなきゃね。そこで宿舎を確保しないと」
「大変申し訳ありません、当ギルドには宿舎はありません……」
またまた美人な受付嬢。彼女は俺たちに向かって頭を下げた。
「ないのか……宿屋探そう」
ということで、俺達は宿屋を探すことにした。
「すみません、満室でして……」
「こちらは予約がいっぱいでして。誠に申し訳ありません」
しかし、何軒回っても泊まれる宿屋は見つからなかった。
「一部屋でいいの!一部屋あれば充分なのに!!」
いやよくないけどね??まあ、そんなことを言っている場合でもなくなってきたけれど。
最悪、メイナとミラと同室も想定しなければならない。というか夜までに俺達が泊まれる宿屋は見つかるのか?
もう日も落ちてきた。そろそろ本格的にまずい。
「どうしよう……」
「あら、お困り?」
幼い少女の声。振り返ると、オレンジ色の髪の、ツインテールの少女が立っていた。
「……まあ、困ってるけど。宿が見つからなくて」
「へえ、そうなの。じゃあウチに来る?」
「いいの!?」
俺が返事をする前に言ったのはメイナだった。
「いいよ。キミたち、冒険者でしょ。私、冒険者大好きだから」
「……親御さんに話をしないとだめだよ、そういう話は」
ミラが言った。たしかに、この子の一存でお世話になるわけにはいかないだろう。
「私に親はいないの。一緒に住んでいる人がいるけど、そいつも今日はいない。家も広いし、泊まれる場所はある。どう?」
「でも……」
俺たちは顔を見合わせた。この子には許可を取るべき人がいないようだ。
「私一人じゃ寂しいな。誰かが来てくれたらいいんだけど」
もう日も沈んできて、行くあてはない。ならば。
「よろしくお願いしても……いいかな」
「ソウタまで」
「いいじゃん、泊まろうよ」
メイナに手を引かれたミラはもう諦めたようだった。
そうして俺達の寝床は、無事に見つかったのだ。
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新世界〜37歳社畜童貞の俺が異世界の神になるってマジっすか!?〜 茨 如恵留 @noel_0625
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