World16 神話がたくさんあるってマジっすか!?

「よっし、討伐完了!」


ちょっと大きなイノシシが発生したという依頼を受け、俺達は激闘の末討伐した。


「最悪逃げなきゃーって考えてたけど、勝てて良かった!」

「ニーナ様のお力添えがあったのかもしれない」


ギクッ。お力添えっていうか、ガッツリ戦闘に参加してます。

本気じゃなかったとはいえ(二人の前ではできるだけ原初魔法を使わないようにしている)、決定打を撃ったのは俺だし。


「そ、そうだ。創造神ニーナ様ってどんな方なの?」

「神話を知らないの?」

「街の図書館に神話の本がある。行ってみたらいい」

「解説が必要ならついてくよー。ミラが!」

「……私杖の手入れしたいんだけど」

「ソウタのためだよ!」


いや、俺文字は読めるし大丈夫だと思う。というかなんでメイナがついてこない。


「……分かった。ソウタのため」


こうして俺は、ミラと一緒に図書館に行くことになった。




街の図書館は案外大きかった。俺の地元の図書館とは比べ物にならない大きさだし、何階建てかわからないくらい高い場所にも本がある。


「神話系の本はたしかこっちに……」


本棚から何冊か本を取り出すミラ。


「俺も持つよ」



ミラが持ってきたのは子供向け神話だった。もう完全に子供扱いされていることは諦めるとしよう。


「これは創造神ニーナ様がお一柱で世界を創造したっていう話」

「こっちは、ニーナ様の上にも神様がいて、この世界を創造したのがたまたまニーナ様だったって話」


……微妙にかすってるのもあるし、全然違うのもある。

というか俺だけでこんな神話できるって何?ちょっと恥ずかしいんだけど。


「これは?」

「これ?一応持ってきたけど、信憑性はほぼない」


読んでみようか。面白いかもしれないし。


「……マジかよ」


ざっくりこの神話の内容をまとめると、創造神ニーナは元々別の世界の人間で、その人間が創造したのが今の世界。

創造神ニーナはこの世界を創造したことによって神になった。


細かいところは違うけどほぼ大筋は正史と一致。

すげえ。すごすぎて逆に怖い。


「ニーナ様が元は人間だったなんて……人間にこんな世界が作れるわけないのに」


ごめん。俺元人間なんだ。


「そういえば、この間の教会の人は?」

「あれは正シルディア教って言って、この国、シルディアの国教。基本的に異教徒も受け入れるけど、ニーナ様の存在を否定するのは邪教としている」

「ミラも……正シルディア教?」

「うん。この国の住民はみんな正シルディア教。盾の国である我が国が世界の中心としているんだよ」


「盾の国?」


ダメだ新しい単語が多すぎてオッサンにはついていけない。

宗教用語となればなおさらだ。


「さっきの神話にも何回か出てきた神器。盾の他にも剣、杖、槍、色々あるんだけど、そういうのが各国に一つずつあるの。シルディアは盾があるから、盾の国。他の国もシルディアをそう呼んでる」

「へー……」


神器かぁ。あれのことかなぁ……。

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