World15 ご近所トラブルってマジっすか!?
俺は朝、ギルドに行こうと宿舎を出た。
「おい」
ガラの悪そうなオッサンの声が聞こえるな。ああいうのには関わらないのが吉。行こう行こう。
「お前だよ、ソウタ!」
「……え?」
呼ばれてるの、俺だったの?
「Fランクのくせに俺のところに挨拶にも来ないなんて、どういうつもりだ?」
顔が赤いオッサン。酔っ払いかよ。っていうか、コイツも同じ宿舎ってこと?
「三階に住んでるエルドさまを知らないなんて、よっぽど世間知らずのようだな」
「あ、そうなんですね。すみません」
「俺はDランクだ。Fランクのお前なんか小指一本でぶっ倒せるんだからな!」
そうですか。多分俺が本気出せばこのエルドとやら、跡形も残らないような気がするけど。
「なんでか知らねえけど俺はいつまで経ってもDランク以上の宿舎に移れねえし。どうなってんだ!」
酒癖が悪いのか素の性格が悪いのかは知らないけど、多分その態度じゃないかな。
「お前は神の子とか呼ばれて調子に乗ってやがるしよ。ふっざけんな!」
おっと、酒瓶で殴りかかってきた。ヤバい。なんとかしないと……!
俺はよりもよって、その酒瓶を素手で受け止めようとしてしまった。
「馬鹿が!」
酒瓶は派手な音を立てて割れた。しかし、俺の手に怪我はない。
「よかった……」
「いやお前……嘘だろ」
エルドとかいうオッサンが俺のことを驚いたような目で見る。
「今、ガラスを弾いて……!?」
おいおいオッサン。そんな冗談みたいなこというなよ。俺がそんなことできるわけ……。
いや、あったかもしれない。だって俺、神だし。
「あー!!」
「エルド、ソウタのこといじめた。ギルドに報告する」
「お前ら……!」
来てくれたのはメイナとミラ。というか、もう騒ぎになっている。
「なんですか!?」
受付嬢たちもやってくる。このオッサン、終わったな……。
「エルドがソウタに暴力振るってたの」
「そうだよ、この男の子にエルドが……」
「私も見た!」
次々と証言が上がる。エルドはたまらなくなったのか、その場を走って逃げ出した。
「騎士団に連絡を!」
受付嬢がギルドに戻っていき、俺はメイナとミラに保護された。
「怖かったでしょ?」
「う、うん」
狂気的でちょっと怖かった。負ける気はしていなかったけど。
「やっぱりこっちに住もうよ……」
「それはちょっと……」
今抱きしめられてる状況ですら恥ずかしいのに、また一緒に住むなんてキツすぎる!
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