World14 ランクアップってマジっすか!?

「ソウタさん、おめでとうございます!」


しばらく経って、俺はFランクへとランクアップを果たした。


「やったね、ソウタ!」

「うん、よく頑張った」


メイナとミラが俺の肩を叩いて言った。新しい冒険者カードは少し良い素材になったように見えて、それがなんだか嬉しかった。


「Fランクに上がったソウタさんは、個人で宿舎に入ることができます」

「そうなんだ」


まあ、毎日寝起きの彼女らを見るのも色々良くない。そろそろ出ることも考えなければならないころだと思っていた。


「どんなところに入れますか?」

「え、ソウタ出ていくの?」

「いつまでもお世話になるわけにはいかないから……」

「ずっと一緒でもいいのに」


それじゃあ俺の心臓が持たないんですよミラさん。俺、中身37歳だからね?美少女に劣情を催してしまうのはまずいんだよ。


「一人で住めるの!?」

「料理はできるし……」


元々向こうの世界では一人暮らしだったんだ。全然平気だよ。とにかく、あの家を出たい。


「ソウタさんが出たいと言うのであれば、手続きします。場所はこちらで……」


受付のお姉さんが手渡した物件情報は、どれも一人暮らしに適したワンルーム。

メイナとミラが住んでいるところよりは狭いが、一人暮らしならこれでいい。


「ベッドやタンス、一通りの家具は揃ってますよ」

「へえ、ありがたいですね」

「ソウタ、本気なの……?」

「うん、できるだけ近いところにはしたいと思ってるけど」


俺達はしばらくパーティーを組むことになるだろう。それなら、近いほうがいい。


「でしたらこちらとかどうでしょう?」

「おお!」


メイナとミラの宿舎の隣にある宿舎の2階。これならすぐに会いに行ける。


「実際見に行ってもいいですが……」

「いえ、ここにします!」


そうして、俺の新居が決まったのだった。




「じゃあね、ソウタ……」


悲しそうな顔をする二人だけど、今生の別れじゃないんだからそんな目で見ないでほしい。



運び込む荷物なんて大してないし、引っ越しはすぐに終わった。

お隣に挨拶に行こうと思ったが、隣どころか同じ階に人が住んでいる気配がない。


どうやらここは、FランクやEランクが基本的に利用する宿舎らしいが、そもそもこの街にそのランクの冒険者がほとんどいないらしい。冒険者都市というだけあって冒険者全体のレベルが高いのか。


でもよかった、ご近所付き合いに悩まされる必要はないようだ。

……と、思っていたのだが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る