World9 美少女と寝れるってマジっすか!?

「この水晶に手をかざしてください」


 水晶ってのがいかにもファンタジー。好き。俺は嬉々として手をかざした。すると。


「おお!」


 何か文字が浮かび上がった。見たことないけど……なぜか読める。これも神の力なんだろうか。


「魔力量……不明?」

「これは一体……?」

「文字通りの意味でしょう。ソウタの魔力は、この水晶では測定できないほどに多い」

「これ……登録できるんですか?」

「できますよ。これはあくまで、ギルドが実力を把握するためのものですから」


 なるほど。試験ではないってことか。ありがたい。


「ではカードを作るので、明日取りに来て下さい」


 ギルドマスターがそう言うので、俺は頷いた。


「行こ、ソウタ!私達の家に案内してあげる!」




 大きな建物。ここがメイナとミラの家?


「私たちの家はここの3階にあるの。ちょっと階段辛いけど、頑張ろ!」


 ……なるほど、アパートみたいなものか。にしても、ずいぶんいいアパートだな……。

 しばらく階段を上がっていくと、


「メイナとミラ」


 と書かれた部屋があった。ここが二人の家らしい。


 内装は普通で、水道は通ってなさそうだけど清潔感があって広々としている。

 心地いい石の匂い、風通し良く空気も澄んでいる。……俺が生前住んでいたところよりよっぽどいい。


「ここはギルドに登録した冒険者だけが住んでるところなの。ここに住んでれば近所の冒険者とも簡単に情報交換ができて便利なんだ!」

「たまに柄が悪いのもいるけど、ギルドに報告すればなんとかしてくれる」


 ギルド管理の宿舎ってことか。便利でいいな。この建物の雰囲気、管理も行き届いていそうだ。


「ここが寝室!」


 ベッドが二つ置かれている。なんかちょっといい匂いもする。なんだろう。


「今日はソウタもここで寝るんだよ!」

「……え?」

「私のベッド使って!」

「ええ!?」


 今日の朝までメイナが使ってたベッドで、俺が寝る!?いやいやいやいや。駄目でしょそれは!!


「一人じゃさみしい?なら私も一緒に寝てあげる!ちょっと狭いけど、大丈夫でしょ」


 なーにも大丈夫じゃないですけど??問題しかないけど?なんなら状況が悪化してますけど??


「メイナ、それは……」

「何?」

「小さくても、ソウタは来年成人なんだよ。ソウタが可哀想」


 そうだよ俺可哀想なんだよ。童貞には刺激が強いって!


「今日だけ、今日だけなら……」

「なんで?」

「愛情を育むために?」


 意味分かんないよメイナさん。抱き枕欲しいだけじゃないの?


「はぁ。今日だけね」


 ミラ諦めないで!!俺の色々が大変なんだよ!


 そういうわけで、俺の危険な夜がやってきた。

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