World8 俺がかわいいってマジっすか!?

「俺は冒険者になりたいです」

「……どうして?給料も高く安定していて、地位も保証される。何が不満なんです?」

「世界が狭くなる」

「……というと?」

「俺は若いです。そんな俺が宮廷魔法使いになったら、世間も知らない、ただ魔法が使えるだけの駄目な大人になってしまう」

「教育機関には通えますよ?」

「そういう問題じゃない。俺は前線で戦って、土の味を知りたいんだ」


 冒険者になると、旅をすることが多いらしい。メイナとミラも、他の街からここに一時滞在している。

 俺の研修という目的に、冒険者という職はピッタリなのだ。


「……変わった子」


 まあ、異世界人ですし。今は神だけど。


「とにかく!ソウタは私たちと一緒に冒険者をするの!ギルドマスター、お願い!」

「私としても、こんな有能な子を宮廷にくれてやるのは勿体ない。ソウタの意思を尊重するべき」


 メイナとミラが頼んでくれている。俺からもちゃんと、改めてお願いしなければ。


「お願いします!!」


 俺が頭を下げると、ギルドマスターのため息が聞こえた。

 俺、駄目かもしれない。


「いいでしょう……私としても、未来ある若者を宮廷なんかに渡したくありません」

「じゃあ……!」

「しかしその力が知られれば宮廷からしつこい勧誘が来るのは間違いありません。覚悟しておきなさい」

「はい!」


 そんなもん、俺が跳ね除けてみせる。だって俺神だし。


「今から登録手続きをします。この紙に必要事項を書き込んでください」


 手渡された紙はいかにもお役所といった雰囲気で、名前や年齢を書く欄があった。


 俺が椅子に座りそれに書き込んでいると、メイナとミラがヒソヒソと何か話していた。


「どうしたの?」

「いや……ソウタって、14歳なの?」

「そうだけど……」


 少なくとも肉体年齢はそうだ。まさか、14歳らしくない?精神年齢出てるのか?


「もっと小さい子かと思ってた……」

「えっ」

「10歳くらいかなってメイナと話してた。それ、本当の年齢?」

「そうだよ!」


 違うけど!!このガワで37歳もおかしいから、外見年齢で書いちゃったけど!

 想定外だよ幼く見られるのは。


「こんなに可愛い子が、もうすぐ成人……?」


 この世界では15で成人らしい……確かに今の俺は身長が150もない。子供っぽく見られるのも無理はない……のか?


 そんなことを考えているうちに書けたので、それをギルドマスターに渡す。


「じゃあ次、魔力測定を行います」


 ギルドマスターがまた奥に戻り、俺はまた数々の視線に刺されることとなった。

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