World7 冒険者になれないってマジっすか!?
「森がない……?」
「うん!ないの!」
「ソウタが全部焼き払った」
ミラー!!それ言っちゃ駄目だろ!?
俺捕まっちゃうよ!
「ソウタって……そちらの男の子?」
「は、はい、ソウタです」
受付嬢が訝しげな目で俺を見る。
「えーと、その子は冒険者か何かですか?」
「ううん、ソウタは……」
ミラが説明しようとしたとき、メイナは握ったままの俺の手を上げた。
「ソウタはね、神の子なの!!」
「ミラ、まだ確定じゃないでしょ。教会が認めた人しか、神の子は名乗っちゃいけないの」
「そっか、そうだった!」
ぽかんとする周りの人々。そりゃそうだ、こんな奴が神の子なんて、信じるわけがない。
「メイナさんが神の子かもしれない……なんて言うってことは、相当の魔法の実力を持っているんですよね?」
「うん!すごい炎で、森一帯を焼き払っちゃったの!」
めちゃくちゃ喋るじゃんメイナ。そこまで喋って俺の身、大丈夫?
「ギルドマスターを呼びますね」
受付嬢が奥に戻ると、一気に男たちがざわついた。
「神の子って……!」
「マジかよ……」
「でも、本当に森を焼き払ったってんなら!」
俺に痛々しいほどの視線が刺さる。辛い。帰りたい。
「大丈夫だよ、ソウタ」
メイナは俺の手を優しく握ってくれる。それがなぜだか、悪い気はしなかった。
まあ、注目されたのもメイナのせいだけど。
「私達が守るから」
ミラが男たちに睨みを効かせてくれている。ありがたい。
しばらくして、ギルドマスターらしき高齢の女性が出てきた。
だけど俺のお袋みたいな野暮ったい感じじゃない。貴婦人って言う表現が正しいだろう。
「ソウタという少年は?」
「あ、俺……僕です」
「敬語は結構。森を焼き払ったのは本当ですか?」
「は、はい」
「なんという魔法で?」
「
女性は目を丸くして、俺を見る。そして、大きなため息をついた。
「まさか、本当に……これは神のお導きか」
「えっと……」
「冒険者志望ですよね、あなた。話は聞いています」
「はい」
「しかし、あなたを冒険者登録させるわけにはいきません」
「……え?」
「宮廷魔法使いの道に進むことを推奨します」
宮廷魔法使いって……つまり、国に仕えるってこと?
絶対嫌だ。神ともあろう俺が、どこかの国の戦力になんてなるわけない。
「案内状は書きますので……」
「嫌です」
「……はい?」
何度問い直されても、答えは変わらない。
「ぜっったいに、嫌です。冒険者にしかなりたくありません」
貴婦人、どうか。俺の話を聞いてくれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます