盾の国 シルディア

冒険者都市アルバリア

World6 冒険者の街があるってマジっすか!?

 俺たちはアルバリアという街に向かっていた。


 というのも、メイナとミラはそこの依頼で森の調査に派遣された冒険者らしい。


「ソウタも冒険者にならない?」

「冒険者……?」

「ギルドから依頼を受けて、魔物討伐や危険な場所の調査をするの。ソウタは魔法も使えるし、向いてるかも」


 冒険者。若かりし頃には憧れたなぁ……。

 ラノベの影響だけど、ドラゴンとか倒して英雄になったりとかさ。

 夢溢れる職業だよ。厨二病がなりたい仕事ランキング第一位なんじゃないか?


「アルバリアは冒険者の街。そこで登録すれば色々手ほどきも受けられる」


 ミラもそう言うし、俺はアルバリアで冒険者登録をすることにした。




「うわぁ……!」


 建物は中世ヨーロッパ……くらいかな?決して発展はしてないけど綺麗な街だ。


「ここがアルバリア。冒険者ギルドは奥の方だよ」


 メイナが当たり前のように俺の手を引く。

 ……俺、37歳。外見年齢も14。迷子になるような歳じゃない。


「め、メイナ……」

「ちゃんとついてきてる?」

「うん……」


 明らかに小さい子扱い。これは傷つく。


「後ろは私が見てるから」


 ミラまで酷い……。俺は14歳(外見)だ!




 冒険者ギルドの建物は他よりも大きく、扉も大きい。

 メイナが押してその扉を開くと、大勢の人々がいた。


「戻ってきた……!」

「ミラちゃん今日も可愛いなあ」

「あのガキ誰?」


 ……なんだろう。物凄く視線を感じる気がする。

 よく見ると大半は男だし。


「メイナさん!ミラさん!今日の調査……どうでした?」


 奥から出てきたのは若い女性。

 茶髪で髪が長く、日本では女優になれそうなくらいの美人だった。

 え、普通にドキドキするんですけど。冒険者ギルドの受付嬢ってこんな可愛いの?


「今日は……というか、調査はもう終わり」

「終わったんですか!?」


 それを聞いてギルド全体がざわつく。


「どういうことだよ……」

「まさか、ドラゴンでも出たのか!?」


「あのー……何か見つかりましたか?」

「うーん、何か見つかったっていうか、何もなかったっていうか」


 受付嬢が首を傾げる。そしてメイナは、笑顔で言った。


「森、無くなっちゃったから」

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