World5 俺が神の子ってマジっすか!?

 正体がバレそうだが、とりあえず惚けることにした。


「神の子って……なんですか?」

「それも知らないの?……まあ、本当に神の子なら納得ね。神の子っていうのは、出自不明で、何故か強力な魔法を行使できる子供のことをそう呼ぶの」


 そんなのがいるのか。この世界すげえ。


「……俺は違いますよ?」

「普通は自覚がないらしい。だから、あなたは神の子なのかも」

「えーすごいね!神の子だって!」


 メイナが俺を更に撫でる。正直、この歳で撫でられるのは結構キツイんだけど。

 っていうか、神の子がいるってことは、この世界に神がいるってことなんじゃないか?


「神がいるの?」

「ああ、創造神ニーナ様?」


 やめろその名を出すなあ!!いや出してくれって言ったの俺だけど!

 中二病時代に友達と考えた俺の神名なんだよ!


「それも知らないなんて。どこから来たの?」

「気がついたらここに……」

「それで?」

「イノシシ?に、襲われそうになったから知ってる魔法を使った」


 この辺は概ね事実だ。この世界のことなんて俺がノートに書いた基礎設定しか知らないし、だから原初魔法も使った。


「杖もなしに魔法を使うなんて……」

「普通は使うの?」

「杖というか……何かしらの媒介を用いないと魔法は使えないはず」


 なんだそのクソめんどくさいシステム。考えたの誰だよ。……俺か。


「こ、これ!」


 俺は黒歴史ノートを取り出し、言った。

 これ普通の人間には魔導書に見えるらしいから別にいいよな? 


「これを媒介にしたんだ!」

「……本?杖じゃないんだ?」

「聖職者の中には聖典を媒介にする人もいるらしいけど……」


 メイナとミラが顔を見合わせ、頷いた。


「うん、よくわからない!」

「私も……」


 結論は理解不能、か。

 まあ俺でさえよく分かってないしな。仕方ない。


「君、名前は?」

「名前?ソウタ」

「ソウタくんかあ、変わった名前だね!」

「こら、メイナ。そんなこと言わないの」


 そうか、こっちでは変わった名前になるのか。

 あんまり言われたことないから新鮮だ。


「ミラさん、メイナさんは姉妹なんですか?」

「うん。歳は2つしか変わらないけどね」

「ちなみにメイナがお姉ちゃんだから」

「それは見たらわかると思うよ!?」


 うーん。確かにミラの方が小さいが、大人びている。

 背くらい姉妹逆転しててもおかしくないし。


「見て、ソウタの反応」

「何さ!私の方が子供っぽいってこと!?」


 怒るメイナに、俺は苦笑いするしかなかった。

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