World3 特典盛りだくさんってマジっすか!?

 目を覚ますと、小さな小屋のベッドの上に俺はいた。


 傍らには小さなカバン。取り出すと、俺の厨二病ノート(神具らしいけどそんなん知らん)。

 中には付箋がたくさん貼ってあった。


「あなたは知っているすべての魔法を使えます。あなたが知っているのはこの世界で言う原初魔法。それをもとにこの世界の住人は魔法技術を発展させたようです」


 なるほど。俺が創造した世界だけど、この世界の住人は俺の知らぬ間に文明を築き上げたってことか。

 それは楽しみだ。


「現在地が分かる地図」

「生活資金」

「身分証明書(偽造)」

「この神具は普通の人間には魔導書に見えます」


 おお。すげえ。神ってそんなこともできるの?なんでもできんじゃん。


「ありがとう、眼鏡くん……!」


 いや眼鏡とか言っちゃ駄目か。俺を案内してくれた人だもんな。

 にしても、あの人は人事的な役職なのか?妙にあの感じ、既視感があったんだよな……。


「さて、行くか!」


 意気揚々と外に出ると、そこは森だった。いや知ってたけどね?地図見たら分かるし。

 でもさぁ。ここはなくない?獣臭すごいよ?唸り声も聞こえるし。


「グァァ!」


 ヤバい来る。何か魔法!魔法撃たないと死ぬ。

 思い出せ、黒歴史から引っ張り出すんだ!


「グルルル……!」


 大型のイノシシ。俺は頭に思いついた一つの魔法を叫んだ。


「【支配の紅炎プロミネンス・ドミナント】!」


 その瞬間、真っ赤な炎が俺とイノシシを包み込み、勢いよく周囲に広がった。


「……は?」


 イノシシは炎に包まれた瞬間に灰になり、炎はそのまま森を燃やし尽くした。

 ……魔法、強すぎないか?確かに強そうな魔法だったけど。


「消えろ!消えろー!!」


 といっても消えるわけもなく、しばらく森は燃え続けた。

 俺はなぜか全く燃えないし、炎は消えないし、どうしようもなかった。




 しばらくして、炎が自然消失してから。


 うん、これどうしよう。

 ずいぶん見通しが良くなってしまった。恐らく森の大部分を焼いてしまったのだろう、木の一本も見当たらない。

 俺が最初に居た小屋なんて当然焼けてしまい、跡も残っていない。


 これ、人がいても死んだ可能性あるよな。本当に俺は反省するべきだと思う。

 あんな森に人がいたとは思えないが、ここは異世界、冒険者がいてもおかしくない。


「……よし、逃げよう」


 俺がこんなことをやったと知れたら、旅行どころじゃない。

 警察的な人に追われでもしたら話にならないぞ。


 俺が逃げる支度をしようとしたとき、女性の声が聞こえた。


「天変地異かもしれないでしょ!危ないから戻って!」

「嫌だ!貴重な素材が落ちてるかもしれないのに!」

「こんな炎、全部焼けちゃったに決まってる……」


 二人の赤髪の少女。身軽そうな服装をした彼女らは、焼け野原に立つ俺を呆然と見ていた。

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