World2 神になるってマジっすか!?

 前回のあらすじ


 過労死して神の世界に飛ばされて、お前も神になれと言われた。




「……え?」

「生まれたてで神がいない世界があるんですけど、その世界の秩序が最近荒れてきまして。安定のために神を新しく据えようという話になったのです」

「……いや、でも俺を神にするなんて……創造神とかいないんですか?」

「人間が神具を使って作った世界ですので……」


 何してくれてんだその人間。安易に神具なんて触りやがって。


「じゃあその人間に神になってもらえば……」

「だから、そうしたのです」

「……ヱ?」

「仁科さん、14歳のとき、山奥にあるノートに何か書いたのを覚えていませんか?」


 ……ンン゙ッ!?なんで俺の黒歴史を知ってるんだコイツ!

 自分が考えた世界の設定を書き出して、挙げ句の果てには「俺が創造神だー!」とか言い出した黒歴史を!


 ……あ。そういうことか!!


「つっ、つまり、あれが神具だったってコト……?」

「そうですね」


 うわあ何してんだ14歳の俺!?拾ったものには何も書いちゃいけませんって小学校で教わらなかったの!?

 教わってねえ!!!そんなもん誰が注意すんだよ!

 デ◯ノートならぬワールドノートが実在すると誰も思わないじゃん!!


「ということで、よろしくお願いしますね?」

「あのー……具体的に俺は何をすれば?」

「仕事内容は……特にありません」

「えっ?」

「神って据えるだけで意味があるものなので、特に仕事とかないですよ」


 じゃあ俺は悠々自適な余生(もう死んでるけど)を過ごせるってこと?

 えー超ラッキー!!ナイス昔の俺!


「ただ……仁科さんは神になったばかりですので、研修があります」


 出たよ研修。新入社員の頃を思い出すなあ。あの頃は俺も夢と希望に満ち溢れてたんだっけ……。


「いえ、人間界のそれとは異なりますよ。仁科さんには、担当する世界のことを知ってもらいます」

「勉強?」

「いえ、旅行です。約100年あれば十分ですね」


 100年?人間の一生分じゃん……。俺一生分研修するの?


「現地の人間と交流して世界を知り、管理方針を決めたら研修終了です」

「なるほど……分かりました」


 まあ旅をするなら実質休暇じゃん、楽しむか。


「では、姿は登録時の14歳で構いませんか?」

「あ、はい……」


 若くなるならありがたい。サービスサービスしすぎだぜ。


「最後に質問です。どんな世界にしたいですか?」

「……平和でみんなが幸せになる世界、かな?」

「分かりました。――管理者権限”セヴェト”付与。これより転送作業を行います」

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