新世界〜37歳社畜童貞の俺が異世界の神になるってマジっすか!?〜

茨 如恵留

死、そして転生

World1 過労死したってマジっすか!?

 俺の名前は仁科創太37歳、童貞、会社員。


 今は上司から押し付けられた仕事をしている。

 あーこれで何徹目だっけ……考えるのやめよう、今は集中集中。


 ここは関数使って……駄目だ、小学生でも分かる数勘定すらできなくなってきた。


 段々視界も歪んできた。そろそろ栄養ドリンク燃料を補給しないとな。


 あ、さっきコンビニで買うの忘れた……。




 目が覚めると、やけに明るい空間に俺は座っていた。

 どこの照明だ目ぇ潰す気か。


「お目覚めになられましたか」


 どこからか若い男の声が聞こえ、俺は声の主を探した。

 ここはどこ。会社にいたはずなのに、急に変な場所にいるし。


 ……ああ、ここ夢か。


「夢ではありませんよ」 


 今、俺の心読んだ?

 本当に誰だよさっさと出て来い!


「すみません、顕現に時間がかかっておりまして……」


 顕現?何それ。

 とにかく声の主が出てくるのにはまだ待たされるってことか?



 それから少しして、若い黒髪眼鏡の男が現れた。


「……失礼、あまりに急な出来事で準備が足りていませんでした。そちらの世界の管理者と上手く連絡が取れていなかったようで……」

「……どういうことだよ。ここはどこなんだ?」

「ここは……神界、と言えば分かりやすいでしょうか」


 シンカイ?なんだそりゃ。


「いわゆる、神の世界です」

「……は?」

「仁科創太さん。あなたは先程、過労で亡くなりました」

「やっぱり?」


 まあいきなりこんな摩訶不思議なところに飛ばされるしさ。

 こんな奴が出てくる時点でここは天国とかその類の場所しかありえない。


「……意外とすんなり受け入れるんですね」

「いつかそうなると思ってましたから」


 で、このあと俺はどうなるんだろう。輪廻転生……は仏教か。いや、イスラム教?あー分からん。忘れた。


「このあとですか……あ、資料届きました?」


 鳥が運んできた書簡を手に取り、男(ここにいるってことは神なのか?)が読み出した。


「仁科創太、年齢37歳。職業、会社員……ああ、組織で下働きをされていたのですね」


 下働きて。言い方。


「近しい血縁者なし、配偶者なし。お間違いありませんか?」

「ありません」

「では、以前の登録とは年齢と職業のみの変更ですね」


 ……以前の登録?そんなものした覚えないけれど。


「ええ、特に問題ないようですね。では、予定通り手続きを行います」

「あの、手続きって……?」


 その男は、俺に優しく告げた。


「仁科創太さん。あなたには、とある世界で神になってもらいます」

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