卵かけご飯
冷蔵庫から卵を取り出す。
ご飯の上に割り落とすと、米に弾かれて少し位置がズレる。
醤油をかけようとして、はたと手を止める。脳内の私が会議を始める。
「本当に醤油?」
「今日はめんつゆの気分なんだけど」
たしかにめんつゆは美味しい。醤油をかけるよりもあっさりとしてて掻き込みやすい。
酷暑で軽めに食べたいと思っていたし、めんつゆの方がいいかもしれない。
「いやでもめんつゆって」
「あっさりならポン酢でしょ」
ポン酢は正直ありだ。程よい酸味がくせになる。
卵に残るわずかな生臭さもかき消され、さらさらと流し込める。
軽めで食べるならポン酢の方がいいかもしれない。
「ポン酢は邪道すぎる」
「あえて焼肉のタレ」
あぁ、焼肉のタレ。ガツンとした味がたまらない。
他のどの調味料よりもインパクトがあり、卵かけご飯以上のおいしさがある。
暑さに負けないようにガッツリ食べてもいいかもしれない。
「焼肉じゃなくて卵かけご飯なんだけど」
「ここは味付け海苔でしょう」
味付け海苔は他にはないおいしさがある。
他の調味料には出来ない食感が加えることも出来る。
パリパリの卵かけご飯にしてもいいかもしれない。
「それはもう卵と海苔かけご飯じゃん」
「結局醤油なんだよなぁ」
醤油はもう間違いない。
結局醤油が一番メジャーなのにはそれだけの理由があるということ。
やはり醤油で食べるのがいいかもしれない。
「本当に——」
「いやでも——」
ダメだ、決まらない。
鬱陶しくなってきた私は近くにあった味の素をぶちこんだ。
「「「あぁ……」」」
頭の中の私たちが一斉に悲痛な声を上げる。
……おや?
「意外とありかも?」
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