第14話 シャボン玉の日々 その十二

 真夏の薄い色の空に、真っ白の雲、濃い青の水平線が、やけに近く見えた。俺たち、サンバか?三馬鹿メンズ!

 「俺たちの、バンド名”サンバ!カメンズ“にしよーぜ!」

 「俺たち、サンバやんの〜」

 「ヤンネ〜、俺ら、太鼓ねーから!」

 「名前だけ、キレイなネーチャン、派手派手ビキニで、良いじゃん、イメージだよ、イメージ」「サンバ!カメンズ」

 「ださくね〜」

 「ださいね!」「でも!クサイ、よりは良くね?」「ダサイは、だって埼玉、ってぇ説があるじゃんよ!埼玉だぜ!此処より、ぜってー勝ってるじゃん」

 「場所によるぜ、埼玉だって!」

 「俺、浦和の赤達、嫌い、きらい、大っ嫌い」

 「まぁまぁ、ほんでよ、クサイは狙って外した感が半端なくて、息を止めて、しまいたい程、恥ずいのよ」

 「ソコ、一寸さん、こだわるよね!」

 「なんか、俺もう、偉いおぼうさん?みたいに呼ばれてる?」

 「かわいい、小坊主さんだよ!」

 「妖精さんから、小坊主さんなんて、アーメン界隈かいわいからクレーム来そう」

 「あっちは精霊さん、貴方は妖精さん!」

 「なら、良いの?」

 「良いんだよ!話し進まね〜から!」

 「サンバ!カメンズ?」

 「ウケるか?おねいさんに聞いてくる!」

 ノゾキヤローが、バイト仲間の、短大生おねいさん、に聞きに行く。何気に、カイタローもついて行く。

 「エツ、何?バンドの名前?」「明太あきと君、バンドやってるの?」

 「うん、ボク、ギターとボーカルやってる」

 「お姉さん、ちょっと興味あるかも」

 「明太君、歌上手いんだ?」

 「上手いったって、この中でだから」

 「でも、聞いてみたいかな?明太君の歌?」

 「じゃぁ、さぁ、今日の帰り、カラオケ行かない?」

 「う〜ん、どっしよかな?ふぅとみっちゃん、どうする?」

 因みに、女子短大生、三人組の呼び名は、ふぅちゃん(風花)、みっちゃん(光樹)、アキちゃん(明乃)だ。

 「アタシは、良いよ」と、みっちゃん。「私、も良いかな」と、ふぅちゃん。

 「お前ら、どうする」と、ノゾキヤロー。

 「行きたい!」とカイタローが言う。

 「皆んな、行くなら」と、俺。

 そこに、バイトリーダー的な、よし君が声を掛けてくる。

 「明太、何の話しだ、よかったら教えてくれよ?」

 「よし君、今日のバイト終わりに、皆んなでカラオケ行くって話し」

 「楽しそうじゃん!俺と、菓心かしんが混ざっても良いか?」

 「良いよ!大勢の方が楽しいし!」

 「皆んなも、良いよね?」

 「菓心さん、カラオケ行くの?以外!」

 短大生トリオは、大学生二人の参入が、嬉しそうだ。よし君は、オーナーの次男坊で、東京にある私大の二年生だ。ノゾキヤローとは、母親同士が従姉妹で親友という、仲の良い再従兄弟はとこ同士だそうだ。

 菓心さんは、よし君の友人で、和菓子屋さんの跡取り息子らしい。よし君と同じ大学で空手同好会に所属していて、全体的に真四角な感じの強面だ。

 

 海の家では、基本的にに俺たち三人が、貸浮き輪、貸ボート(ゴムボート)。短大生トリオがウエイトレスで、よし君と菓心さんが、ウエイター兼ガードマンだった。但し、昼近くなると俺たちは交代で、見張り一人を残して、ウエイターと皿洗いの手伝いに行く。そうして、4時を過ぎたあたりから、店内の清掃と、お店前の砂浜のゴミ拾い始めて、全て終わるのが6時前だ。

 その日は仕事終わりに、よし君の車とアキちゃんの車に別れて乗車して、カラオケの店に行った。パーティールームで男女8人が、大盛り上がりだ。よし君も菓心さんも、お酒は一切飲まずに、真面目に?歌を歌って盛り上げた。菓心さん、演歌を大熱唱!挙句に、ふぅちゃんと”銀恋“をデュエット!ライク、ア、オヤジで、面白意外で大ウケだった。

 ノゾキヤローとよし君の再従兄弟はとこコンビは、流石に聴かせた。ウチのボーカルは、やっぱ、最高だ!最後は、皆んなで”The Beatle’s“の”Get Back”の大合唱で終わった。めちゃくちゃ楽しかった!

 この日は寝る直前まで、ガッコのことも、拓磨の事も考えることは無かった。

 寝る直前に気付いた?あっれ!俺たちの、バンド名は?どうなった........?サンバ!カメンズ?........?

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 夏休みになって、もう三週間が何気に過ぎてしまった。 その間、私といえば、たまに寧子や結海と、会って近隣のショッピングモールへ出掛けて遊んだ。

 それ以外では、お父さんの車で、家族で出掛けるだけで、大体は家で学校の課題をしたり本を読んで過ごした。マー君は、勉強が忙しいらしく、約束した電話もまだ来ない。

 ミー君もバイトで忙しくて電話も、くれやしない。マー君は兎も角、ミー君はちゃんと出来ているのか?心配だ。私がチェックしないと、ハンカチも持たないで、出かけちゃう。大体、心配してあげてるのに、あの、間ぁ、男、と来たら電話の一つもよこさない!

 でも、今日は、お盆明けの16日、ミー君から連絡があってもおかしくは無いころ。

 そう、思っていたら、呼び出し音がする。

 慌てず、通話を繋ぐ、ミー君だよ、きっと! 

 「今晩は、貴女の間ぁ、男、です」

 「あら、随分とご無沙汰ですこと、お久しぶりね!間ぁ、男、さん、綺麗なお姉さんを放って置いて、何をしてらしたの?」

 「アッァ!綺麗なおねいさん貴女との約束のために、貴女の間ぁ、男、は、重労働に耐えて、お金を稼いでおりました」

 「ご苦労様!それで、今日はどの様な、ご用件かしら?」

 「以前、お約束いただいた通り、千葉にある、Tokyo浦安ランドに、ご一緒する、日程のご相談です!」

 「いつが、ご要望かしら?間ぁ、男、さん」

 「五日後の水曜日など、如何でしょうか?」

 「8月の21日ね、ええ、えぇ、構いませんわ」

 「では、その様に、ご準備させて頂きます」「なお、当日は、朝、早くから家を出て、帰宅時間も遅くなると思われます」「ご家族が、心配することのない様に、パンフレットと予定表をお渡ししたいのですが?ご都合は?」

 「明日でも、よろしくてよ」

 「なら、明日、朝9時のバスで、町を出ますか?」

 「まぁ、ステキ、どこまで行って、何をするのかしら?」

 「それは、明日のお楽しみです!綺麗なおねいさん」

 「本当、明日が楽しみですわ!」

 「それでは、又、明日、お休みなさい」

 「お休みなさいませ」

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