第13話 シャボン玉の日々 その十一
今日が、夏休み前、最後の待ち合わせ。朝7時の通学バス、海岸線をガッコを乗せたバスが、俺の元へとやってくる。そう、思っただけで胸のときめきが止まらない。心は未だ、拓磨のものかもしれないが、絶対奪って見せる。俺達、三人が共に過ごせるとしたら俺とガッコが、くっ付くしか無いんだ。ガッコに言ったら、激おこだろうけど、拓磨は、何よりも一番にガッコが大事な訳では無いんだ!だから、平気で、俺にガッコを任せるなんて言えるんだ!本当は、ガッコも気付いているはずだ。それだけに、口が裂けてもそんな事はガッコには言えない。
バスが俺の所に、ガッコを連れてきた。
「おはよう!」
「おはよう!」
「今日は、終業式だね」「高校生になって、初めての夏休みだね」
「はいっ!弁当箱、今回も、美味しかった!」「玉子焼きは、絶品!何回食べても飽きない、それと、カツオの唐揚げ、鶏と違ってしつこく無くて好き!」
「えっへへ!そんなに、美味しい?」
「美味しい!嬉しい!大好き!」
「子供、だなー、ミー君は、二学期になっても、この、お姉さんが!作ってあげるかも?」
「お姉さん?ガッコさん、俺の、お姉さんなのか......」「じゃあ!そんな、可愛い、おネイサン、にお願いして良いかな?」
「ミー君!可愛いじゃないよ!綺麗なお姉さんだよ!」
「エッ、ソコナノ、ごめんなさい、綺麗なおねいさん....お盆明けに、千葉のTokyo 浦安ランドに一緒に行って下さい!」
「あっ、それは、弟としての、お願い?かな?」
「いえ!ガッコさん、貴女の間ぁ、男として、誘惑のインビテーションです!」
「あら、承りましたわ、でも、日程は、相談して下さい、お願いしますわ?」
「勿論です、事前にご相談させて頂きます」
拓磨と何か約束があるんだなと思ったが、聞けなかった。そして、この日を最後に、ガッコのお弁当箱は、俺の手元に戻る事は、二度となかった。
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終業式の後、俺達いつメンは、何時もの所で管を巻いた。
「明日からの、バイトだけど、朝7時に現地集合ね!」「静浜の”第三稲荷丸“って言う、海の家ね!」
「了解です」
「ところでだ、俺の相談に、乗ってくれないか?」
「乗れと言われりゃ、乗らねぇわけにも行かない、ない、ない、ナイアガラ!」
「乗ったら、滝へ落ちろたぁ、言わねぇよなぁ!」
「言わねぇよ!馬鹿言ってんじゃねぇよ!
話しがすすみやしねぇ」「今朝、ガッコにお盆過ぎに、千葉のTokyo に行かねーか聞いたんだ!」
「それで?」
「日程は相談してねと、来やがった」「て、こたぁ、誰ぞと、どっか行く予定でも?誰ぞと会う予定でも?と、思うじゃねぇか?て、ことよ」
「何それ、ノレソレ、一寸法師?」
「だから、と、思うじゃねぇか?って言ってんの!」
「いや、いや、お前こそが、間ぁ、男、おじゃま虫」
「そいつを言っちゃぁ、おしめぇよ」
「どーしたって、今んとこ、豚鼻ガリコの旦那は、拓磨じゃん!」
「我らが、一寸ベーシストは、間ぁ、男って、粋がっちゃぁいるが、無理、無理」「勝ち目は、ねーから、尻尾を巻いて、北欧の森にお帰り、エルフ!」
「エルフじゃない、妖精さんだ!それに、豚鼻ガリコ言うな!」
「とうとう、てめーが言っちまったぜ」
「前から、言ってらい!」「それより、俺は、諦めない、二人のためにもなっ!」
「止めはしねーが、
「結局、いつでも、負け確な俺?」
「だっろー!」
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「ガッコ、夏休みは、どうするの?」
寧子が聞いてきた。
「予定は、無いかな」
「バイトとか、しないの?」
口を挟んできた。結海とは、高校入学後に知りあった。背が高い、手脚の長い、綺麗系の美少女だ。
「バイトとかは、しないかな、お父さん
「興味はあるんだけど、ウチも親が煩いからダメだな」
「寧子は、何かあるの?」
「和君とどっか行こうか!とは、話すんだけど......決まっていないな」
和君は、私達と同中で高校も一緒で、中2の時から寧子と付き合っている。
「良いな、寧子は、ボーイフレンドとかいて!」
「ガッコは、マー君と、予定ないの」
「一日くらいは会えそうだけど....勉強、忙しいみたいだから」
「噂の、オリ高〜校の、イケメン君?」
「そうそう、そう言えば、おバカのミー君とは、約束ないの?」
「エッ、誰、初めて聞くけど?」
「やめてよ、寧子ったら、なんで言っちゃうの!」
「だって、旦那に
「言い方!ミー君は、ただの友達....そのぉ、弟みたいな、仲のいい友達」
「勿論、旦那さんが良いんでしょけど?」
「エッ、みんな違って、みんないいだよ!」
「誰だっけ?」
「あっ、金子みすゞ!」「でも、金子みすゞ、って弟と、どうにかなっちゃったんだよね、たしか?」
「エッ、弟と?あり得ないよ」
「でも、ミー君は本当の弟じゃ無いよね?」
「じゃぁ、ありえるの?」
「無い、無い......無いと思う」
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ガッコと会った夜、僕は勉強に集中できなかった。ガッコから僕が貰う、最後のガッコの初めて。その時と、その場所について、なかなか良いアイデアが思いつかなかった。場所については、もう、僕の部屋、一択。だろう。何時にするかは、ガッコと匠のデートの前にするか?後にするか?の二択。
時間帯は、家族のいない日中、今の時期であれば、昼間にシャワーを浴びても不自然じゃ無い。ムードも何もあったもんじゃ無いな。それでも、僕の目的達成から逆算すれば、ここしかないんだろうな。
僕は、盛ったガキのようだが、今更止まれない。
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冷徹と無関心
目に見える ものだけを 信じていたら
見つけられない 欲しいモノ 僕が
手に入れられない 信じること 誰が
どのパーツ 動かせば 僕らの関係
どう動く シュミレーション
シュミレーション
無くしたくないモノ 無くさないために
無くしていいモノ 捨ててしまえ
触れ合える それだけで 信じていたら
手さえ付けずに ただ居るだけ 君は
見ること出来ない 真の姿 誰もが
どのルールを 蹴飛ばせば 動き出す因果
どう動く エスカレーション
エスカレーション
手放せないモノ 手放さないために
手放せるモノ 失せてしまえ
前には大事 だった物でも邪魔に
変わって仕舞えば 捨ててしまえ
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