第3話 シャボン玉の日々 その一

 俺は、拓磨と待ち合わせから帰宅後、夜20時位になって、ガッコに電話をした。極限まで、キョドッテ、限りなくタドッテ会話になったのか謎状態なぞじょうたいだった。

 「ここ..今晩ワン、アッ、噛んだ、エエエート」

 「フフ...ミー君、オヒサー、元気してた」 

 「元気、ゲ、,,,,元気してた,,,元気?カナ」

 「ナニソレー、本当に久しぶり、声、聞けて、嬉しい」

 「ココ....チラ...ソー」ウッワー!ヤバイ、激カワ、声、激カワ、....俺、生きてる?呼吸、...大丈夫?「ガ...ッ...コの、声大好き....」

 「えっ、ありがとう」

 「そんで...さ、拓磨から、聞いて...ネ、確認...した...い」

「うん...うん、ミー君、会いたいです」

 ウェッ...変な声出た...本日、二回目の、生存確認、俺、生きてる?呼吸、大丈夫?...........

 「会おう、愛...たい...、会おう!」

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 何とか、会う約束は出来た。俺....頑張った。ホント、よくやった、俺、頑張った。週末、土曜日、俺の通学駅前で、午前10時に待ち合わせ、改札口の時計の下。

 

 休みの土曜日、俺の通学駅で待ち合わせだったのに!何これ、忘れてたワ、俺もガッコもバス通学、地方アルアル?待合せのチョット大きめの街に出る前に、移動手段のバスで遭遇。これって事故じゃね?あっ、ガッコ手振ってる。隣空いてる?嬉しいけど、隣り座りたいけど、何?何?何話す。オット、浮かれポンチじゃ不味い、不味いと俺のセンサーが警報中だ、ガッコは拓磨と別れたばかり?拓磨はそう言ってた!でも、ガッコはどうなんだろう?

 「おはよう、ごぜマウス?」

 「おはよう!」

 何?俺、何言ってんだ?おはよう、ごぜマウス?ごぜマウスって、何、浮かれポンチじゃん!....

 「ゴメン、デリカシー崩壊中で、ゴメン...やり直し、おはようございます」

 「えへへ、大丈夫、気をつかわなくても、いいよ、せっかく、ミー君と会えたんだもの」「ミー君、いつも、面白いから」

 「俺、自意識過剰のチビだけど、そんなキャラじゃねーと、思うんだけど」と、心の中ではつぶやいて、

 「なら、良いわ、ありがとう」と、答えた。

 結局、俺は、ガッコの隣りに座った。

 ガッコは俺の左側、そっち側だけムズムズして暑くて。「今日、暑いネ」と言ったら 

 「そうかな、私はそうでも無いよ」

 「俺、変?」

 「じゃ無いよ、変じゃない」

 「んで、俺と付き合うで、良いの?」「あっ、今日きょうは、てことじゃなく...」

 「いきなりだなぁ、....マー君は、そうしろって」

 「嫌なの?」

 「そうじゃない!そうじゃないけど!友だちだよね、ずっと前から、友だちじゃだめかな?」

 「良いヨ!変わらない友だちで、変わらない...いつも通り、友だちだもの、会って話すだけで楽しいし、嬉しい」

 本当はそうじゃない、友達の距離じゃ遠過ぎるんだ、でもね、近すぎると怖いんだね。

 「良いヨ!変える必要は無いんだね!」「でも、二人きりで遊ぶのは、初めてダネ」

 「チョットは、変わっても良い」「結局、マー君の言う通りにしちゃう自分が嫌なんだ」「ミー君が、彼氏になるのが、嫌なんじゃ、無いんだよ」「誰が彼氏になっても、良いわけじゃ無いし」「ミー君のこと好きだし、大事なの」

 もう、それ以上は良いヨ!ナニモイワナクテモワカルカラ!それでも、キミノチカクニイタインダ!

 バスは、俺の通学駅前に着いた。

 俺とガッコは、ブックセンターやCDショップ、ゲーセンなんかで一日中遊び回った。

 正直、メッチャ楽しかった。一緒にいるだけで、世界の中心にいる気分。俺は天下取っちゃった!みたいな万能感。皆んな俺を見て、うらやましがれ!と、叫びたい位だった。

 ガッコと別れて、帰り道、「ずっと前から、友だちだよ!」ガッコのクセに、やたら強い言葉使いで、ガッコのクセに。

 泣きたくなった。泣けないけど、拓磨に電話した。「ガッコのことは任せろ、お前にゃ返さねーぞ」と、言ってやった。とても、空しくて、悲しくて、100対0で負けた気分だった。結局、楽しかったのか?悲しかったのか?悔しかったのか?全然、分からなかった。ガッコの声が聴きたくて、電話しようと思ったが、「彼氏でもねーのに」自分で口に出して、気分悪くして、止めた。

 そのくせ、ガッコが恋しくて、また会いたいと思ってしまう気持ちは、抑えられなかった。

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 休日明けの月曜日、俺は高校の部室でカレーパンと110ml紙パックの牛乳を頂いていた。

 同中おなちゅうでバンド仲間のオマタ カイタローとノゾキ アキタと一緒だった。

 俺は、チョットの自慢と掛ける百倍の自虐で土曜日の顛末を話していた。

 コイツらは、俺がガッコにベタ惚れヘタレなことも知っていた。

 「そんで、イーサオが、一部熱狂的マニア垂涎の、豚鼻ガリコに友達でいましょう攻撃を受けて、撃沈したって言う話がしたい訳か?」

 な、何だと、今コイツなんて言いやがった。

 誰が、豚鼻ガリコだ、俺は怒りのあまり牛乳パックを握り潰してしまった。

 パックのミルクはストローを通過すると、カイタローのオマタに盛大なお漏らし跡を刻み込んだ。

 二人は同時に立ち上がり、叫んだ。

 「俺の天使を、侮辱するするな!」

 「俺の尊厳に、ミルクを掛けるな!」

 「二人とも、落ち着け」

 ガッコの事を、豚鼻ガリコ呼びした野曽木のぞき明太あきとが言った。

 「お前のせいだろうが、ノゾキヤロー」

 二人同時に再び叫んだ。

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    本当の事だらけ


 僕は本当に なにもなくて

 気付かれる ことさえ恐れて

 それでも君から 目が離せなかった

 心が渇いて しまう度に

 君の笑顔が 欲しくなる

 その先を 欲しがる心

 無理に押さえて しまうから

 君から貰った 甘い水

 苦くなってしまう 刹那せつな


 笑顔のその先 僕じゃない

 分かったよ 要らないのは僕

 それでも君から 離れられないんだ

 心が渇いて しまう度に

 君の笑顔が 欲しくなる

 苦くなった その水を飲む

 欲しがるままに 苦さにしびれる

 舌がしびれて 話せない

 君の前にいても 永遠に



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