第4話
「なるほどね~。人の血を摂取すると怪物化するんだ……」
今私は、襲って来た無頼漢たちを皆殺しにして、その躯に座っていた。
右腕は、関節が一つ増えており、長さが身長程に伸びている。
そして、指が刃物と化していた。
変身できているよ。書物の通りだ。訓練すれば、目の器官を作ることも可能そうだ。
「だけど、不味いね。栄養価は高そうだけど、味が好みじゃない」
感覚で分かる。若い方がいい。
ここで考える。
(屋敷に籠っていれば、後10年は安泰だよな~)
「ひい!? 化物!? 鬼!?」
あっ、やっべ。見つかっちまったわ。考え過ぎたね。
私はその場を後にして、闇夜に消えた。
次の日から、私の家の捜索が始まった。
だけど、こんなこともあろうかと地下室を作っていた。防空壕だね。
出入口の偽装も完璧で見破れないだろう。
藪医者の資料を筆頭に、金目のモノも退避してある。
家探ししても、なにも出ないよ?
そう思っていたら、火をつけやがった。
これには、いかに温厚な私でも頭に血が上った。
「親から貰った屋敷だったのに……。皆殺しにしてやる」
私は、夜まで待った。夜になっても、私の捜索隊は、屋敷から離れようとしない。正直、うざい。
次の朝日が昇る時、私の屋敷跡には大量の死体が積み上がっていた。
◇
住処を奪われた私は、大事なモノを牛舎に詰めて移動した。問題点は、夜間移動しかできないってことだ。何処かに安住の地はないものだろうか。
それと、追手が来る……。その度に返り討ちにした。
「生き残りがいると面倒だと思って、全滅させてんだけど、追手を撒けない。どっからか観測してんのかね?」
都から逃れても、人里から離れても、山中に潜んでも、奴らの追手は私を補足して来た。どんな組織だよ。
こうなると、私以外に怪物がいるのかもしれない。会ってみるのもいいかもしれないな。
「対人恐怖症の私は、静かに生きたいんだけどな~」
今日も私は体を変形させて、追手を屠って行く。
もうね、原型なんて分かんなくなって来たよ。
だけど、身長3メートルもある巨人に変身してしまった。このくらいでないと、武装した軍には敵わなかったんだ。相手側も学習しているのか、徐々に強さを増して行く。
だけど、私の相手ではなかった。
「刃物を通さない皮膚。槍よりも長いリーチ。毒を受け付けない血液……。陽の光以外は、無敵なんだけどな~」
人力で攻撃してくる限り、私の優位は変わらない。
「覚えていろ、化物! いつか必ず、貴様に天誅が落ちるぞ!」
――グシャ
私は、追手の最後の一人を叩き潰した。
「天誅って言われてもね……。売らなきゃ買わないんだけどな~。それと、悪いことをしているとは思っていない。人類に悪影響を及ぼしている覚えはないし、食料にするのも追手だけだ。食料は、不味いけど家畜でもいいし」
化物って言うか、妖怪が実在すると思われた時代だ。その最たる例が、私になってしまったんだろう。
人類に仇名すつもりはないんだけど、怖がられているんだな~。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます