第47話 しゅってん
「ん-……」
狩りに貢献すると言っても、今更ステータスは変えようがないので、ダメージを与えることで貢献するというやり方は無理だろう。
となると、他の人がダメージを与えることにリソースを注げるようにサポートするというのが私のやるべきことだと考えられる。
だとすると、『鼓舞』『癒しの歌』『バリア』『聖域』あたりの味方をサポートできそうなスキルが好ましい。
(全部3ポイントかー。無理やり全部取ってみるっていうこともできるけど……)
お化け屋敷が10ポイントだったことを考えると、その次のスキルはもっとポイントが必要になってくるだろう。解放条件を満たせるのは相当先になることは確定的だと思うが、一応その時のことを考えてポイントはなるべく温存していきたい。
というか、一人で悩んでないでそのサポート相手となるメノに直接聞けばいい話か。
というわけで、早速メッセージを送ってみる。
≪ゆきひめ:狩りの際にメノさんをサポートできるようなスキルを取ろうと思うのですが、『鼓舞』『癒しの歌』『バリア』『聖域』ならどれが良いですか?≫
≪meno:回復スキルはヘイトを奪ってしまうことが多いです≫
≪meno:だから癒しの歌と聖域はちょっと危ないかもしれません≫
≪meno:狩りなら鼓舞だと思います≫
≪meno:私はまだバフスキルを取っていないので≫
≪ゆきひめ:わかりました≫
≪meno:でも≫
≪meno:鼓舞は使用中は使用者は動けなくなるらしいです≫
≪meno:それよりも一緒に戦ってくれた方がありがたいのですが≫
まあ、そうだよね。
でもINTは上げなかったし、どどやコットンも戦力としてはまだ信用できないだろう。それに、どどのことはまだメノに隠したままだ。
とはいえ、隠すために召喚状態を解除すると当分の間再召喚できないと思うので、いっそ話してしまった方が楽かもしれない。それに、そういうテイムモンスターを持っていると明かした方が変な人に絡まれることへの抑止力にもなるだろう。
≪ゆきひめ:実はINTは上げなかったんです。ボスモンスターテイムしたので、火力はそっちを頼ろうと思いまして。だから、一緒に戦うのは厳しいかもしれません≫
≪meno:え≫
≪meno:どういうことですか?≫
≪meno:あのアナウンスの時の話ですか?≫
≪ゆきひめ:はい≫
相当驚いているのか、いつもは爆速のメノからの返信が途絶えてしまう。
ひとまず、その間に『鼓舞』のスキルを取得しておこう。
≪スキルポイントを3使用して、スキル:鼓舞 を取得します。よろしいですか?≫
残りの13は、また何かしらのスキルが欲しくなった時のために取っておこう。
ちなみに『鼓舞』の強化内容は強化・範囲・連射性・消費となっている。範囲ってことは範囲内の味方を強化するみたいなスキルなのかな。
ついでに、『お化け屋敷』の強化内容は確率・持続時間・連射性・消費だ。連射性はおそらくクールタイムの話なので、一応戦闘系のスキルではあるのだろう。確率が何の確率を示しているのかは使ってみないと分からないが、持続時間という項目があり、スキルの種類がフィールド効果となっている以上、こちらはフィールドに何かしらの効果を発生させるスキルのようだ。
そんなことを考えていると、メノからようやく返信が返ってきた。
≪meno:後で色々聞かせてください≫
≪meno:いつ頃着きそうですか?≫
んー……マップを見る限り、もう1/3ほどは通過しているようだ。
まだ移動を始めてから五分も経っていないが、徒歩だとここまでくるのにエリーナたちと双翼の森まで行くのにかかっていた時間から逆算して一時間半ほどはかかるだろう。上空なので障害物がないというのも大きいが、やはりコットンの移動速度がとても速いというのは間違いないようだ。時速100キロくらい出てるんじゃないかな。
そう考えると、双翼の森経由で直線距離ではないとはいえ、最初のグリーシャの街から次のアザッレの街というところまで20キロちょっとくらいあるということになるのかな。道中にはモンスターが蔓延っていると考えると、移動だけでもかなり大変そうだ。
≪ゆきひめ:十分かからないくらいだと思います≫
≪meno:え≫
≪meno:早すぎませんか?≫
≪ゆきひめ:一反木綿に乗って時速100キロくらいで向かってます≫
≪meno:怖いです≫
私もそう思う。
≪meno:すみません≫
≪meno:私が街に戻るのにあと一時間弱はかかります≫
≪meno:まさかそんなに早いとは思わなかったです≫
≪ゆきひめ:大丈夫です。街を回って待ってます≫
≪meno:よろしくお願いします≫
そういえば、メノは昨日デスペナ解除後の十九時半ごろから徒歩でアザッレの街まで向かって、私が再ログインしてどどをテイムした深夜一時半ごろにようやく着いたと言っていた。その感覚で誘っていれば、まさかそんな早く来るとは思いもしないだろう。
丁度調合台とやらも手に入れに行きたかったし、素材アイテムを色々換金したりしていたら一時間なんてあっという間のはずだ。
(ん……換金といえば、『出店』とかいう機能が増えたんだっけ)
後回しになってしまっていたが、改めてその機能を確認してみる。
すると、システムメッセージによる簡単なチュートリアルからその機能の説明が始まった。
≪出店機能が解放されたので、プレイヤーショップで製作アイテムを売却することが可能になりました≫
プレイヤーショップという見慣れないワードが出てきたので、詳細を表示させてみる。
≪プレイヤーショップ 各街に設置されているプレイヤー同士で製作アイテムを売買するための施設≫
(あー、あの誰もいなかったところか)
その説明を見て、ゲーム開始直後にグリーシャの街を探索していた時にそんなところにも訪れたなということを思い出す。
確か中には大きな機械が二個設置されており、それぞれが売却用と購入用の機械だったはずだ。
ちなみにショップの中ではプレイヤー同士が物理的に干渉しあわないので、それぞれ一つずつあれば事足りる。
≪プレイヤーショップで製作アイテムを売却すると、製作アイテムの性能によって自動で開始金額と即決金額が決定され、制限時間八時間でのオークションが始まります。売却に失敗した場合は製作アイテムが返還され、成功した場合は購入したプレイヤーが支払った金額の九割が売却プレイヤーの手元に渡ります≫
……九割ですか。
減らされた分は手数料ということなのだろうが、ゲームなんだしそこまでしなくてもと思うのは私だけだろうか。
≪また、他のプレイヤーが製作したアイテムを売却することはできません≫
転売対策もしっかりしてますと。
なんでそんな世知辛さを感じる仕様なの?このゲームは。
別にゲームの中のお金なんだし、需要の流れとかを予想してこのシステムでお金儲けとかやらせてあげてもいいのに。
まあ、私はポーションとか使うことも少ないだろうし、作ったポーションをこれで売ったりしてみようかな。
というか、今のところ私しか出品できないのか。ていうか、聞いた感じだと出品って感じだけどあくまでシステム的には出店なんだよね。
この機能を使うことでアップグレードされていって、いつかはそういう感じになったりするのかな。
というわけで、これでようやくどどのテイムで手に入れたものの整理が終わったことになる。
もう目的の街もすぐ近くだし、次はお待ちかねの調合の時間だね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます