第36話 すてーたすのかくにん
(だめだ、混乱して頭痛くなってきた……)
もしかしたら毒状態のせいなのかもしれないが、この痛み方は混乱によるものだと思う。もちろん異常状態の話ではない。リアル混乱だ。
(ひとまず、解毒ポーション……)
正直捨ててしまっても良いと思っていたのだが、無駄に高かったからできるだけ持ち帰って売ろうとキープしておいて正解だった。
これまたケミカルな味の液体を無理やり飲み込んで、毒状態から解放される。
そして、ひとまず衝撃のした方から逃げるように移動を開始した。
「うわっ……え、きも」
ポイズンマジシャンは、全長四十センチくらいの藁人形だ。
単体ではそこまで不快感はない……というかむしろ魔女帽をかぶっていて少し可愛いくらいである。
しかし、少し歩いて魔法攻撃エフェクトが重なっているゾーンを抜け出すと、そこには砂糖に群がるアリのような数のポイズンマジシャンがゾロゾロと並んでいた。何者であろうと、同族を踏み越えることも厭わないくらいの密度で群れていたら気持ちが悪いものだ。
「はい、ごめんねー通るよー」
謎の断りを入れて、彼らを跨ぎ超えていく。
私を襲った衝撃は、おそらくはポイズンスライムの毒弾だろう。だとすると柵の外からの攻撃のはずなので、中に逃げてしまえば安全……だと思いたい。
「んー……」
ポイズンマジシャンのことを完全に無視しながら、ずんずんと中へ突き進んでいく。
そんな私の頭の中は、先ほどの衝撃のことでいっぱいだった。
毒弾をくらったという現実は、これまでの私のラッキープリンセスに対する解釈の全てと相反していた。
異常状態無効だと思っていたのも違ったし、魔法攻撃が当たらないというのも違った。
では一体どういうことなのか。
なんて、私一人で考えていても答えが出る気はしないけど。
(ていうか、ここで死んでご飯食べるつもりだったんだけど、どうしよう)
わざとデスするというのも、なんだか損をした気分になってしまう。
かといって戦闘中にログアウトはできないようで、すぐにログアウトというわけにもいかないようだ。
(あ、そうだ。ステータスポイント)
レベルが上がったので、ステータスポイントがもらえているはずだ。
前回は一気に上がってどういう配分でもらえたのかが不明だったので、今回何もらえたのかを一応確認しておく。
(ん……3だね)
ということは、やはり基本的にはレベルが1上昇するにつき3もらえて、十の位が上昇した時にはボーナスが加算されるということなのだろう。
そしてステータス画面を開いたついでに、ステータスポイントも割り振っておく。
≪INTにステータスポイントを1割り振ると、INT7(7+0+0)→INT8(8+0+0)となります。よろしいですか?≫
≪DEXにステータスポイントを2割り振ると、DEX1(5+0ー4)→DEX1(7+0ー6)となります。よろしいですか?≫
DEXはまだ上がらないようだが、もう固定値分のマイナスは払い終えた。なので、次回からはしっかり上がってくれるはずだ。
(ついでにスキルも色々見て回っちゃおうかな)
適当な場所でその場に腰を下ろし、黄色い光に包まれながらスキルの画面をいじくりまわす。
視界がどうなっていてもシステムウィンドウはちゃんと見えるので、ありがたいところだ。
(うーん……サポート系のスキルもいっぱいあるんだなぁ……あ、こっちには非戦闘系のスキルもある)
もしかしたらと思い、非戦闘系のスキルを調べていく。
すると、調合という私の要望をかなえられそうなスキルを発見した。
調合の文字をタップし、その詳細を確認する。
≪調合 消費型アイテムを生成するスキル。生成には調合台と素材アイテムが必要≫
≪調合台 調合をするための台≫
(消費型アイテムって、ポーションは絶対そうだよね)
確信を得たので、早速そのスキルを取得していく。
≪スキルポイントを2使用して、スキル:調合 を取得します。よろしいですか?≫
はいを選択。調合台とやらの入手方法はわからないが、街を探し回ればきっと見つかるだろう。
少しお高そうな買い物な気はするが、ドロップアイテムを売却すれば……
(あ、ドロップアイテムといえば)
ポイズンスライムとポイズンマジシャンを手に入れて手に入れた核があったはずだ。
核のドロップ率は低めで、ずっと狩っていたポイズンスライムのものですら七個くらいだったはずだ。
(うん、七個だね。ポイズンマジシャンの方は三個だ。運良かったのかな)
早速それらを使用し、図鑑を確認してみる。
≪ポイズンスライム理解度 討伐数11% 生態理解度88% 核35% 生息域25% 合計40%≫
≪理解度ボーナス 体力上昇≫
≪ポイズンマジシャン理解度 討伐数2% 生態理解度20% 核15% 生息域25% 合計16%≫
≪理解度ボーナス 知力上昇≫
随分とポイズンスライムの生態理解度が高いが、テイムして様々なべにいもの顔を見てきたからなのだろうか。
だとすると、テイムしていないのに生態理解度が60%もあるスライムは……まあ、最初にじゃれてたからかな。
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