第26話 ていむのせいか
ポイズンスライムの口へと毒泥が入った小瓶を運ぶと、ポイズンスライムは特に抵抗することもなくその小瓶の口を咥えた。
「ぷっ……ぷっ……」
「おー、飲んでるね」
小瓶を傾けて中の毒泥をポイズンスライムの口へと流し込むと、ポイズンスライムはこれまた抵抗することなくそれを飲み込んだ。
そしてその中身を六割ほど減らしたあたりで、私の視界に怒涛の通知がなだれ込む。
≪ポイズンスライムのテイムに成功しました≫
≪機能:テイムモンスター が解放されました≫
≪称号:初めての友達 を獲得しました≫
≪レベルが4になりました≫
≪称号:ファーストテイマー を獲得しました≫
≪レベルが5になりました≫
≪レベルが6になりました≫
≪称号:世界初の偉業 を獲得しました≫
≪レベルが7になりました≫
≪レベルが8になりました≫
≪機能:スキル が解放されました≫
≪レベルが9になりました≫
≪レベルが10になりました≫
「うわっ!?」
「どうしたの……って、あら?」
「もしかして、成功しましたか!?」
突然驚きの声を上げた私に対し、通知が送られていない二人は一瞬戸惑いの声を上げたが、ポイズンスライムがテイムされたことにより彼らにも何かしらの変化があったようで、二人して私の方へと詰め寄ってきた。
「えと、なんか成功したみたいです。あと、色々称号も獲得しました。それに機能も」
「おー。こっちもポイズンスライムのカーソルが変わって、名前も表示されてるわ。……って、それも驚きだけど」
「いきなり10レベまで上がってますけど、どうしたんですか!?バグ!?」
メノの声が大きすぎて、耳がキーンってなった。
「なんか、称号の獲得で一気に上がったみたいです」
「一気にって、限度を超えてますけど!?」
「そんなこと言われましても……」
こちらはシステムの結果を受けただけなので、私ではなくゲーム会社に言ってほしい。
とはいえ私も流石にこれは上がりすぎだと思うので、まずは称号の方から確認することにした。
「とりあえず、獲得した称号なんですけど……まずは『初めての友達』っていうのです」
そう言いながら、詳細を表示させる。
≪初めての友達 モンスターを一匹以上テイムした人に贈られる称号≫
「聞いた感じだと、モンスターをテイムした人に贈られる称号っぽいわね」
「はい。そう書いてありますね」
「ふむふむ」
「いきなりズラズラっと通知が来たので詳しくは覚えてませんが、この称号ではあまりレベルは上がってなかったと思います」
「通知はバックログが見れるわよ」
「そうなんですか?」
エリーナの手ほどきを受けて、バックログを表示させて再度確認をする。
「えと、やっぱりこの称号では3から4に上がっただけですね」
「そうなのね、残念」
これで大量の経験値がもらえるなら、みんなモンスターをテイムしに行くだろう。
まあテイムの詳しい方法もわかっていなければ、そうではないのでこの話の意味はないが。
「次は、『ファーストテイマー』っていうのです」
≪ファーストテイマー 世界で最初にモンスターをテイムした人に贈られる称号≫
「ファーストテイマー?さっきの称号と何が違うんですか?」
「えと、世界で最初にテイムした人って書いてますね」
「あー、なるほどね。そういう……」
「もう入手不可ってことですか……」
残念そうにする二人。
おそらく次の称号もそういう感じなのだろうし、今から頑張ってモンスターをテイムしてもここまで大量の経験値は得られないということだろう。
「これは、4レベから6レベに上がってますね」
「じゃあまだあるのね?あと三つくらい?」
「いえ、次で最後です」
「じゃあそれだけで6から10に上がったんですか!?」
「はい」
驚く二人を他所に、最後の称号を確認する。
「最後は、『世界初の偉業』っていうのです」
≪世界初の偉業 ファースト称号を獲得した人に贈られる称号≫
一応、ファースト称号というところに補足説明があったので確認しておく。
≪ファースト称号 世界で最初にという条件が付く称号≫
「ファーストテイマーのおかげで手に入れたって感じかしら」
「そうですね。世界で最初が条件の称号を手に入れることが条件みたいです」
「うーん、ネットで攻略を調べてやるっていうだけじゃ手に入れられない称号ってことですか」
「まあ、それなら獲得経験値が破格なのも頷けるわね」
そもそも、ファースト称号がどのくらいあるのかもわかっていないわけだ。獲得経験値が多いのかどうかは、正直現段階では判断に困る。
それに、狙って手に入れられるものでもないので、多かったとして育成のバランスが崩れるようなものでもないだろう。それに、レベルアップに必要な経験値が二次関数的に増えていくと考えると、6から10に上がるのに必要ななんてそのうち誤差くらいのものになるはずだ。
尤も、スタートダッシュ的な意味では非常に大きなアドバンテージとなることに変わりはないのだが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます