映像

今回の事故に関して改めて警察側の主張を述べさせていただきます。

事故は9月7日の木曜日、午後16時頃に後藤恵梨香さんがアンドロイドと共に倒れているところを望月健斗さんが発見しました。

後藤さんの頭部には大きな鈍器でつけられた打撲痕があり、近くに落ちていたトロフフィーに後藤さんの血液が付いていたため、棚の上から落ちたトロフィーが直撃したと思われます。近くにあったアンドロイドについてですが、橘さんの協力のもと確認した所、原因不明のシャットダウン状態にあるとのことなので我々としてはアンドロイド内にある映像を確認し事件性がないことを確認したい所存です。

シャットダウン状態にあるアンドロイドから映像を取りだす為、内部の損傷が付き再起動が不可能になるということですので、作成者である橘さんに映像を取りだす許可をもらいたいのです。


「こちらの要望としては以上になります。」

丁寧かつ、要点だけをまとめた山本さんの説明。

「事故かそれとも事件かを判明させることが僕にとっての利益、ということですね」

「はい、そうなります」

こちらを真剣に見る山本さんの視線から目を逸らし、右手の黒革の手袋に視線を落とす。

「…調子はどうですか?」

「え?あ、あぁ!すこぶるいいですよ!もう随分と慣れましたし不具合もありません」

「それならよかったです。」

そう言った山本さんは指を緩やかに動かし人懐っこい笑顔を見せた。

「私の主張を述べてもよろしいでしょうか?」

これまた私をじっと見る目。

一瞬会った目から再び目を逸らし眼鏡を直す。

「はい、よろしくお願いします。」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る