四話 侍従は騎士団で!②
キャラメ・シェオ。レベル51。保有スキル、風属性魔法適性【43/43】、身体能力強化【23/23】、魔法威力強化【15/15】、格闘術【14/14】、魔法射程強化【12/12】、魔獣察知【5/5】、毒察知【5/5】、怠惰の
スキルポイントを振り分けてあるスキルは以上で、必要に応じて習得できるようポイントは余らせているシェオなのだが、模擬戦闘が始まってみれば高くなった自身の力に振り回され一試合が終わる頃には息も絶え絶えである。
「なんだシェオ、体調でも悪いのか?」
「そうではないのですが、少し上手くいかず…」
(適性と威力の上昇で力の調整が難しく。…小刻みに振って身体を慣らしていくべきでしたね。…、それとも『怠惰の仕徒』という不明なスキルが関与しているか。何にせよ、経験を重ねて慣らさねば、次の戦闘ではお嬢様を危険に晒してしまうかもしれません)
「ふぅー…、次も加えてもらっていいですか?」
「構いませんよ、…ですが根を詰め過ぎてもよくありませんから、次が終わったら一旦身体を休めるように。いいですか?」
「はい」
仕える主の為に、シェオは自身の身体にスキルを馴染ませるべく騎士団と肩を並べ、彼らと模擬戦闘を重ねていく。
(魔法に関しては全体へ劇的な上昇が見られますが、それに対して彼自が追いつけていない状況ですね。こういう状況は、
「はい、そこまで。そろそろ
「「はい!」」「…っはい」
「感覚は掴めましたか、シェオ」
「お陰様で大方は」
「何があったかは聞きませんが、騎士たちにもいい刺激となりますので、必要に応じて足を運んでください」
「助かります、ユーベシ副団長」
「騎士団へ迎え入れられないのが本当に惜しい人材です」
「ははっ、
「でしょうね。…我々騎士団ではレィエ
「はい。」
(実際のところ王城での貴族たちの動きはどんな様子で?)
(目立ったものは出来事はありませんが、小規模な小競り合いが発生していますよ)
(ガレト王家派閥と対立貴族派閥が、でしょうか?)
(ええ。対立派閥も一枚岩ではないので
(…。)
(レィエ宰相と仲の良いデュロ
(承知しました)
チマ本人がどう思うと、彼女は王位継承者の一人であり、ガレト王家の血を継ぐ姫なのだ。そして都合の良いことに表舞台には立ちたがらず、持っているスキルは一つしか無く一点特化…と見える。故にそのスキルが政に向いているものでなければ、傀儡にして
第六騎士団の食堂へ同行すればシェオも受け取ることが出来、騎士らと肩を並べて料理を
「そういやあさ、この前は本人がいたから言わなかったけど、ゲッペでやってたのってパワーレベリングか?」
レベルが高く実力のあるシェオが
「全員戦えていましたよ、お嬢様も。自身の管理を怠って体力を切らしてしまっていましたが、戦闘面では三人とも問題なく私も一人の時よりか楽ができた程なんです」
「へぇ、チマお嬢様もゲッペで戦えるなんて、俺たち騎士も
「お嬢様の長期休暇が来てからですね」
「なるほどね。…というか今更だけど、学校に行ってんの?」
「ええ、最近はお友達も出来て、楽しく…はなさそうですが渋々登校するようになってくれました」
「渋々…お屋敷でどんな風に暮らしていたかなんて知らないけども、友達もなく一人なんてのは面白くないもんな」
「そうです。それにスキルのせいで腐ってほしくもありませんので」
シェオの言葉に嘘偽りはなく、長年の友人、いや親友たるディンはチマを想う彼を見て楽しそうに口端を上げた。
「あーあ、クソガキしてたシェオはどっかに行っちまったなー」
「そりゃあもういい歳ですからね」
「嘘つけ、歳なんかじゃなくてチマお嬢様に一目惚れしたのが原因だろうが!このカッコつけめ!」
「なっ、一目惚れって!そんなこと!」
「無いって言い切れんのかぁ?大事なチマお嬢様に、惹かれたことがない、そんなこと毛ほども思ったことはないってさ」
「否定は…、しないけども」
「はははっ、まさかシェオがね。他の男に取られないよう気をつけないといけないな!」
「…。」
「シェオはアレですか?身分がーとか気にする類いの人ですかね」
「ユーベシ副団長まで…」
「相手は王位継承権を有する紛うことなき王族、気後れする気持ちもわからなくはありませんが。現在の政策の旗頭になると私は思いますよ」
「それが嫌なんですよ。もし隣に立つことが出来たら、…お嬢様を政に利用してしまうようで」
「チマ姫の婚姻なんてどう転んでも
茶を飲み終えたユーベシは「悩め若者よ」と告げて、席を立って何処かへと消えていたのである。
縁あって
「お疲れさん、また
「まだ本調子に
(…、ところでシェオ、お前どんなスキルを習得したんだ?今までと実力が
(悪いがそれは言えない)
(そうかい。…まあ気負いすぎるなよ)
「ああ、それじゃあまた」
「またな」
騎士団詰所から徒歩で王城内を移動するシェオは視線を一つ感じて出どころを探る。
(アレは…誰だったか。政務官の)
「君は確かアゲセンベ家に仕える使用人だっただろうか?」
「はい。第六騎士団に縁があり修練に参加していました」
「ああ、そういうね。私はバァニー・キィス、名前を聞かせてもらっても?」
「キャラメ・シェオです。アゲセンベ家に何か御用でも?」
「キャラメ…。あぁいやなんでもない、知っている顔に似ていたものでな。呼び止めて済まなかった」
「そうですか、失礼します」
顎を撫でながらシェオの後ろ姿を眺めていたキィスは、子を孕んだことを切っ掛けに手切れ金を渡し屋敷から追い出した使用人を思い出す。
(捨てたた種が
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