公孫瓚との関係修復と鄭成功への報告

公孫瓚(こうそんさん)の軍勢が撤退し、梁山泊(りょうざんぱく)はひとまず危機を免れた。しかし、湊はこれで全てが解決したわけではないことを理解していた。公孫瓚との対立はまだ続いており、彼との関係修復が急務である。そして、鄭成功(ていせいこう)や日本への報告も残されていた。モンゴル帝国の脅威が増大する中で、全ての協力者と連携を強固にしなければならなかった。


梁山泊の広間では、晁蓋(ちょうがい)、呉用(ごよう)、李天淵(りてんえん)、時宗(ときむね)、そして紅蓮(ぐれん)他、好漢たちが集まり、次なる一手をどう打つか議論していた。


李天淵が口を開き、現状を説明した。「公孫瓚が梁山泊に攻撃を仕掛けたのは、モンゴル帝国が彼の領地に近づきつつあり、時間がないと感じたからでしょう。彼は、すぐにでも梁山泊との同盟を結びたかった。しかし、梁山泊が曖昧な態度を取り続けたため、不安が募り、強硬手段に出ざるを得なかったのでしょう。」


「公孫瓚がそんなに焦っているとは……」紅蓮は腕を組み、険しい顔でつぶやいた。「確かに、蒙古の勢力は強大だし、彼の領地も危険にさらされてるのはわかるけど……だからっていきなり攻撃してくるのは短絡的すぎるわね。」


湊は紅蓮の言葉に同意しつつ、今後の対応を練っていた。公孫瓚との関係修復は絶対に避けては通れない課題だった。モンゴル帝国に対抗するためには、彼との協力が不可欠であり、対立を長引かせるわけにはいかなかった。


「公孫瓚との関係が修復されなければ、モンゴル帝国に対抗する計画はすべて水の泡となる。彼との同盟を確保できなければ、孤立してしまうのは梁山泊だけではなく、我々全員だ……」湊は心の中でそう自分に言い聞かせ、深いプレッシャーを感じていた。だが、ここで冷静さを失うわけにはいかない。湊は頭をクリアにし、冷静に戦略を練り直す決意を固めた。


湊が考えをまとめる中、武松(ぶしょう)が豪快に笑いながら提案した。「公孫瓚に派手な贈り物でもしてやれば、奴も機嫌を直すだろう。モンゴルの兵士でも捕まえて差し出すとかさ!」


林冲(りんちゅう)は、そんな武松の案を冷静に却下した。「それだけでは足りない。公孫瓚は短期的な解決よりも、長期的な協力関係を求めている。我々が彼にとって長期的に価値のある同盟者だと証明しなければ、信頼は回復しない。」


呉用も林冲の意見に同意し、策を練りながら言葉を続けた。「公孫瓚が最も恐れているのは、モンゴル軍の次なる動きです。我々がモンゴル軍の進軍経路や内部の情報を提供できれば、彼にとって非常に価値のある同盟者だと認識させることができるでしょう。」


「例えば、モンゴル軍の補給路で弱点になっている場所や、指揮系統に乱れがあるといった具体的な情報を提供することで、彼はその情報を利用し、戦況を有利に運ぶことができるでしょう」時宗も話に加わり、提案を強化した。


「それに加えて、我々がモンゴル軍に対して先手を打ち、実際に彼の守備を支援すれば、彼は我々に対する見方を変えるはずです」と湊は続けて提案した。「モンゴル軍の拠点を攻撃し、彼の領地への脅威を軽減させる行動を取れば、公孫瓚の信頼を回復することができるでしょう。」


呉用はその提案に満足げにうなずき、さらに策をまとめ上げた。「では、湊殿の提案であるモンゴル軍への攻撃と、時宗殿の情報提供という二つの戦略を同時に進めましょう。公孫瓚にとって、この二つの策は価値あるものです。これをもって、彼との交渉を進めていきましょう。」


その後、湊は鄭成功への報告と日本への連絡が重要であることを話し始めた。


「梁山泊との連携が成立し、これを鄭成功殿に報告する必要があります。そして、これまでの進展を日本にも伝えなければなりません。モンゴル帝国に対抗するために、我々が築いた同盟がいかに重要かを信長公や朝廷に伝え、日本のさらなる支援を仰ぐべきです」と湊は決意を込めて語った。


紅蓮がその言葉を聞いて頷き、「日本にもこの危機が伝わるべきね。私たちがどれだけの危険を冒しているか、そしてこの同盟がどれだけ重要かをしっかり知らせなければならないわ」と賛同した。


「鄭成功殿にこの進展を伝え、日本からの支援を強化することが必要です」と李天淵も同意し、湊の案を支持した。


呉用が締めくくる。「湊殿、梁山泊の危機を救ったのはあなたの知恵です。どうか、鄭成功殿にこの同盟の重要性を報告し、さらなる協力を得て戻ってきてください。その間に、我々は公孫瓚との交渉を進めておきます。」


湊は深く礼をし、「必ず、鄭成功殿に報告を済ませて戻ってきます。そして、公孫瓚との交渉にも必ず参加します」と力強く応えた。


紅蓮も黙って荷物をまとめ、湊と共に出発の準備を進めた。


出発の準備が整った後、湊は呉用に大陸の情勢について尋ねた。モンゴル帝国がどれほどの脅威となっているのか、さらに深い情報が必要だった。


「呉先生、モンゴル帝国の現状について教えてください。現在、中原はどのような状況にありますか?」湊は問いかけた。


呉用は静かに話し始めた。「モンゴル帝国は、草原から中原の広大な領土までを制圧しています。明朝はすでに形骸化し、名ばかりの存在となっています。各地で群雄が立ち上がり、反モンゴルの戦いを繰り広げていますが、統一された抵抗勢力は存在しません。我々もその中の一つに過ぎません。」


湊はその説明を聞き、冷や汗を感じながら頭の整理をする。「中原がほぼモンゴルに制圧されている……そして、群雄割拠」

(これは、三國志を題材にしたゲーム「Three Kingdoms~英雄の野望~」にあった黄巾の乱後の「群雄割拠」シナリオがこの世界に表出しているのかもしれないな……)


「モンゴル帝国は強大です。もし奴らの進軍を許せば、残る土地も全て彼らの手に落ちてしまうでしょう」呉用は厳しい表情で言った。


湊はその脅威を痛感し、さらなる同盟強化の重要性を再確認した。そしてふと、別の疑問が浮かんだ。「ところで、呉先生……『宝玉』というものについて何かご存じですか?」


呉用は首をかしげ、「そのような名は聞いたことがありません。梁山泊でもそういった伝説的なものは特に知られていませんが、それが何か重要なものであるのですか?」と答えた。


「まだよくわかりません。ただ、これがこの世界において重要な鍵となるかもしれないと考えています。いずれ、もっと情報を集めてみます」と湊は答えた。


湊はモンゴル帝国の圧倒的な脅威を再確認し、強固な同盟を築くため、鄭成功への報告と日本への連絡の準備を進めた。そして、紅蓮とともに船に乗り、再び戦いの前線へと向かう決意を固めた。


「すべては、これからの戦いのためだ……」湊は静かに心の中で誓い、出発を迎えた。

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